【衆議院参議院】違いは?選挙制度・定数や二院制のメリット・デメリットとは
日本の衆議院と参議院をわかりやすく解説!
今回は衆議院と参議院の違いについて、まとめていきます。
国会議員を選ぶ選挙の中で、いつもなんとなく投票しているけど、衆議院と参議院の違いがよくわからず投票していたという方も多いのではないでしょうか?
そんな衆議院と参議院の定数・選挙制度・任期などの違いなどを解説していきます。
衆議院・参議院とは?
衆議院・参議院は、どちらも国会内に置かれている議院(議会)の事です。
それぞれの議員は、衆議院議員・参議院議員と呼ばれ、別々の選挙で選ばれます。
衆議院議員と参議院議員は、まとめて国会議員と呼ばれ、国会議員はそれぞれの議院に分かれて法律や予算などを審議して、可決します。
【衆議院と参議院】国会は2院制
日本の国会は、衆議院と参議院の2つの議院(議会)を持つ二院制(両院制)という形をとっています。
一方で、国会が1つの議会で構成されている制度のことを一院制と呼びます。スウェーデン・トルコ・韓国・台湾などが、一院制を取っています。
日本は、明治維新から貴族院と衆議院の二院制の形をとっており、日本国憲法制定後は、衆議院・参議院の形で二院制を引き継いでいます。
二院制のメリット
2院制のメリットは、主に以下の3つになります。
- 権力の集中を防ぐこと
- 異なる視点からの審議
- 民意を問う回数が多くなる
2院のそれぞれが独立性を持っているため、権力が集中して特定の個人や集団などに有利な意思決定がされたりすることを防ぎます。
また突発的な行動を抑制し、それぞれで議論をすることで深い議論ができます。衆議院と参議院でそれぞれ選挙があるため、国民に民意を問う機会が増えるという利点もあります。
二院制のデメリット
しかし、デメリットもあります。
- 2つの議院があることにより、議会の運営経費・それぞれの選挙にかかる費用がかさむ
- 2院での結論が分かれた時に意思決定に時間がかかる
- ねじれ国会が起きた際には、決められない政府になってしまう懸念がある
- 衆議院・参議院で与党が同じ場合は二院制のメリットが充分に生かせない懸念がある
特に衆議院と参議院で与党が異なるねじれ国会の状態の時は、衆参で違った意思決定がされる傾向にあります。
そつなるとなかなか政策が進まず、議会の運営費用がかさむという状況に陥るリスクがあります。
衆議院・参議院の違い
ここからはし衆議院と参議院の違いをみていきましょう。
定数
- 衆議院:465人(小選挙区289人・比例176人)
- 参議院:248人(選挙区148人・比例100人)
一回の選挙で改選されるのは、124人(選挙区74人・比例50人)
任期
- 衆議院:4年(解散あり)
- 参議院:6年(解散なし、3年ごとに半数ずつ改選)
被選挙権(立候補年齢)
- 衆議院:25歳以上
- 参議院:30歳以上
選挙制度
衆議院も参議院も、選挙区制度と比例代表の2種類の方法で国会議員を選びます。
小選挙区制度は、立候補した複数の候補者の中から、ふさわしいと思う候補者を1人投票用紙に記入して、得票数の多い順番に選ばれます。それに対して、比例代表制は、決められた選挙区での政党の得票数を元に政党内の名簿の順番に当選者を決めていきます。
しかし、衆議院と参議院では、選挙区と比例代表でそれぞれ違いがあります。今回はその違いについてみていきます。
選挙区制度
- 衆議院:小選挙区制(都道府県から、さらに細かく分けられた小選挙区の中から1人)
- 参議院:中選挙区制(都道府県単位で1人または複数人を選ぶ、鳥取県・島根県、徳島県・高知県はそれぞれ2県の区域で1人を選ぶ)
比例代表
- 衆議院:政党名を記入。東京都ブロック、南関東ブロック、中国ブロックといったブロックごとに選ぶ、拘束名簿式
- 参議院:政党名または個人名を記入。日本全国を1つの選挙区とする。非拘束名簿式
参議院の緊急集会
参議院のみに認められているものとしては、参議院の緊急集会があります。
参議院は衆議院の解散と同時に閉会となりますが、この閉会中に国会の議決を要する緊急の問題が発生したときに、参議院が国会の権能を暫定的に代行する制度が参議院の緊急集会です。内閣は、衆議院の解散中に国に緊急の必要があるときは、参議院に対して緊急集会を求めることができます(憲法第54条第2項)。
衆議院と参議院の関係
二院制の制度の中で、衆議院と参議院は密接に関係しあっています。
衆議院と参議院は、どのような関係になっているのでしょうか?
両院協議会
衆両院協議会は、衆議院と参議院の意思が異なった場合に両院の意思の調整を図るための話合いの場です。
両院協議会は、衆議院と参議院から選ばれた10名ずつの協議委員で組織され、各議院の協議委員の3分の2以上の出席のもと開かれます。
両院協議会において、出席協議委員の3分の2以上の多数で議決されたとき、両院協議会の成案となります。ただし、成案は、その後、両院の本議会で議決されなければ国会の意思とはなりません。
両院協議会は、予算の議決、条約締結の承認、内閣総理大臣の指名で両院の意思が異なった場合には必ず開かれ、法律案の場合は、必要に応じて開かれます。
衆議院の優越
衆議院と参議院で意見が異なった場合は、衆議院の優越が認められ衆議院の意見を採用する仕組みとなっています。衆議院の方が任期が短く、解散があるため、国民の意見をより反映しているとみなされるためです。
内閣不信任決議をする権限、予算を先に審議する権限(予算先議権)は衆議院にしかありません。予算の議決・条約の承認・内閣総理大臣の指名は、衆議院の議決が国会の議決となり、法律案に関しては衆議院の出席議員の3分の2で再可決することによって通すことができます。
衆議院の優越の対象となる場合 | 優越による結果 | |
予算の議決 | ・参議院が衆議院と異なる議決をし、両院協議会を開いても意見が一致しないとき | 衆議院の議決がそのまま国会の議決となる |
内閣総理大臣の指名 | ・衆議院と参議院で異なった人を指名し、両院協議会を開いても意見が一致しないとき | 衆議院の議決がそのまま国会の議決となり、衆議院で指名された人が内閣総理大臣になる |
法律案 | ・衆議院で可決した法律案を参議院が否決または修正議決したとき | 衆議院がもとの案を出席議員の3分の2以上の賛成で再び可決したとき、法律となる |
https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/html/shikumi/kankei.html の表を元に作成
まとめ
今回は衆議院と参議院の違いについてまとめてみました。衆議院と参議院の違いを知ることで、自分の選んだ国会議員がどっちに所属をしていて、どんなことをしているのかを知るきっかけになれば幸いです。
参考になるサイト
- NHK|民主党政権迷走 「ねじれ国会」状態に|https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009030782_00000
- 総務省|選挙の種類|https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo03.html
- 進研ゼミ中学講座|【政治】衆議院の優越|https://chu.benesse.co.jp/qat/3514_s.html
- 参議院|衆議院と参議院の関係|https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/html/shikumi/kankei.html
- 参議院|参議院のあらまし|https://www.sangiin.go.jp/japanese/aramashi/keyword/syukai.html