【性犯罪】定義や種類、起こりやすいケース、セクハラとの違いなどを解説!
性犯罪とは?どのような犯罪なのか
みなさんは、性犯罪と聞くとどんなイメージがあるでしょうか。
実は日本では、明治にできた性犯罪の法律が改正されないまま、たくさんの問題を抱えていました。
この記事では、性犯罪の定義や種類、セクハラとの違いなどについて、わかりやすく解説します。
【性犯罪の定義】性犯罪とは?
「性犯罪」とは、「違法な方法で性欲を満足させる行為」のことを指します。似た言葉で「性暴力」というものがありますが、これは「相手の同意のない、あらゆる性的な行為」を含みます。つまり、性犯罪とは、性暴力のうち法律で裁くことができるもの、ということになります。
同意のない性的な行為
相手が拒否したにもかかわらず性的な行為を行ったり、あるいは相手がNOと言えないような状況で実行したりした場合、性犯罪としてみなされます。たとえカップルや夫婦間であっても、相手のはっきりとした同意がなければ、それは性暴力であり、性犯罪になり得ます。性的な行為を行う前には、必ずきちんとお互いの意志を確認することが大切です。
具体的には、以下のような状況では、被害者がはっきりNOと言えなくても、性犯罪として認められます。
- 暴行、脅迫があったとき
- 被害者に心身の障がいがあったとき
- 被害者が薬物、アルコールの影響を受けていたとき
- 被害者が眠っていたり、意識がはっきりしていなかったとき
- 不意打ちなど、被害者に判断する余地がなかったとき
- 予期せぬ出来事で、被害者の体が動かなかったとき(フリーズしたとき)
- 加害者からの虐待による恐怖や無力感があったとき
- 加害者の経済的・社会的地位が高く、被害者が不利益を恐れて拒否できなかったとき
性犯罪に性別は関係ない
性犯罪の被害者・加害者として認められるために、性別は関係ありません。以前は「男性が無理やり女性と性交した」場合のみが性犯罪として認められていましたが、法律が改正されたことで、女性から男性への性暴力や、女性同士、男性同士など同性間でも性犯罪が成立するようになりました。
性犯罪というと、加害者=男性、被害者=女性という先入観がもたれやすいですが、必ずしもそうではありません。
性犯罪とセクハラの違い
前に述べた通り、性犯罪とは「違法な方法で性欲を満足させる行為」で、犯罪です。
一方で、セクハラとはセクシュアル・ハラスメント(sexual harassment)の略で、性的な発言や行為によって、嫌がらせしたり、他人に不快な思いをさせることです。
日本では、セクハラそのものを直接禁止したり、具体的な罰則を定めたりした法律はありませんが、自治体によっては条例違反となる場合があります。また、「個人の権利が侵害された」という形で、加害者や会社に対する処罰が求められることもあります。
性犯罪の種類
性犯罪には、不同意性交罪、不同意わいせつ罪、撮影罪、性的グルーミング罪などがあります。具体的には、相手の同意なしに以下のような行為をした場合、性犯罪にあたります。
- 性交(セックス)をする
- 必ずしも性器を使わないが、性交に似た行為をする
- 身体やプライベートゾーンを触る
- 抱きつく
- キスをする
- 下着の中に手を入れる
- 性器を押し当てる、見せる
- 性的な写真、動画を送るよう要求する
- 性的な写真、動画を撮影する
- 盗撮する
- 16歳未満の子どもに対して、上記のような行為を行う
- 16歳未満の子どもを騙して、性的な目的で会う
被害者が16歳未満の子どもの場合、たとえ同意があったとしても、それは性犯罪としてみなされます。子どもは性に関する理解がまだ不十分であるため、性行為をしてよいのかどうか、本当にしたいのかどうか、適切な判断ができないと考えられるためです。
性犯罪が起こりやすいケース・場面
性犯罪が起こりやすいケースとしては、次のような場合が考えられます。
権力関係で一方が上にいる場合
社会的・経済的な上下関係がある場合、被害者は拒否した場合に起こりうる不利益を恐れてNOと言えないことが多く、同意のない性的な行為が起こりやすくなります。たとえば、教師と生徒、上司と部下、親と子などの関係にあると、成績や仕事への影響を心配して、性的な行為を拒否したり、被害を訴えたりすることが難しくなるのです。
被害者が幼い、若い場合
性犯罪を受けたとき、まだ幼い被害者はそれを犯罪や性行為として理解できないことも少なくありません。性犯罪の被害者は、20代以下の幼い子どもや若い女性の割合が高く、性に関する知識が不十分な場合が多いのです。自分が何をされているのか分からないまま、気が付いたら被害に遭っていたという人はたくさんいます。このように、信頼関係を築いて子どもを手なずけてから、そうとは思わせないようにして性的な行為を行うことを、チャイルド・グルーミングと呼びます。
犯人が特定されにくい状況
簡単には犯人がわからない状況でも、性犯罪は起こりやすくなります。
たとえば、満員電車での痴漢に遭った場合や、路上を歩いると突然自転車に乗った人に体を触られる場合など、人混みやすれ違いざまでの接触は犯人の特定が難しく、そのことを悪用して性犯罪を起こす人もいるのです。
また、反対に人気(ひとけ)のない場所でも、性的な行為を目的とした接触や誘拐などに遭うリスクは高くなるといわれています。
まとめ
この記事では、性犯罪の定義や種類、起こりやすいケースについて解説しました。性犯罪の定義は、時代に合わせて変わってきています。
また、性犯罪は知らない人だけではなく顔見知りとの間でも起こります。この記事が、性犯罪に関するよりよい理解につながれば幸いです。
参考文献
- HELiCO あしたがちょっと健康に|自分や大切な人を守る!性犯罪に関する法律の最新事情|https://helico.life/monthly/240102sexeducation-legislation/
- PILCON|性暴力|https://pilcon.org/help-line/sexualviolence
- PILCON|性的同意|https://pilcon.org/help-line/consent
- 内閣府男女共同参画局|性犯罪・性暴力とは|https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/
- NHKクローズアップ現代|その性的行為、同意ありますか?“新たな刑法”が問いかけるもの|https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4792/
- NHKみんなでプラス|性交同意年齢とは?なぜ13歳?世界では…<用語解説>|https://www.nhk.or.jp/minplus/0026/topic029.html
- NHKみんなでプラス|性暴力を考える:性暴力アンケート 38,383件の回答が寄せられました|https://www.nhk.or.jp/minplus/0026/topic059.html
- Human Rights Now|性暴力被害者を守れるより良い制度の実現をめざして|https://hrn.or.jp/activities/project/women/womensrights-2020/
- 読売新聞|不同意性交罪への名称変更、計8種類の行為や状況を明記…処罰しやすくなる「関係性の悪用」|https://www.yomiuri.co.jp/national/20230617-OYT1T50068/
- 東京新聞|性行為の「挿入」規定見直し、指や物も処罰対象に「被害者の傷つき考慮された」 改正刑法|https://www.tokyo-np.co.jp/article/257161
- 朝日新聞SDGs ACTION!|セクシュアルハラスメントとは?法律上の定義や具体例を弁護士が解説|https://www.asahi.com/sdgs/article/15307988