【河野談話】争点は?慰安婦問題の内容や発表後の経過などを解説!

河野談話とは?慰安婦問題に解決はあるのか
河野談話という言葉を聞いたことがありますか?
耳にしたことのある方は多くないかもしれません。
しかし、日本や東アジアにとって歴史認識をめぐる議論のきっかけの1つとして重要です。
今回は、そんな河野談話についてみていきます。
河野談話とは?河野洋平って、一体何者?
そもそも、河野談話とは何なのでしょうか。概要を見ていきましょう。
談話とは?
政府発表談話(談話)とは、首相や官房長官などの一個人の見解を示すもののことを指します。国会審議を経た公式な見解ではなく、法的に拘束力を持つものではありません。
しかし、閣議を経て個人の主張だけでなく、内閣全体の意思として示すことができます。また、閣議決定された談話をのちの内閣によって修正したり、取り消したりできます。
河野談話って?
河野談話は、1993年8月4日に当時の河野洋平内閣官房長官が発表した談話です。正式名称は「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」といいます。
日本統治下の朝鮮において、日本軍が強制的に現地の女性を、彼女らの意志に反して売春婦である「慰安婦」として過酷な生活を強いたとしたうえで、このことをお詫びする内容でした。
しかし、河野談話で語られる慰安婦の事実の有無や謝罪の必要性などで見解が分かれており、議論は現在も続いています。
まずは、河野談話の全文に目を通してみてください。
結果発表に関する河野内閣官房長官談話|https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html
河野洋平とは?
河野洋平氏は1937年1月15日、神奈川県平塚市に生まれました。早稲田大学を卒業したのち、五大商社の一角である丸紅に就職します。
1967年には、父の地盤を引き継いで衆議院議員に初当選しました。その後、内閣官房長官や自由民主党総裁、衆議院議長などを歴任します。
また、親族に多くの政治家がいることでも有名です。長男の河野太郎は、現在も衆議院議員・デジタル大臣として活動しており、防衛大臣や外務大臣などを歴任しました。
その他にも、父は河野一郎元衆議院議員、叔父は河野謙三元参議院議長などがいます。
その後の論争
では、この談話が発表された後、どのような論争が起きたのでしょうか。解説していきます。
その後の外交関係
河野談話は、東アジアの国々の間で、特に韓国と日本の間の外交関係に大きな問題をもたらしました。当時の金泳三大統領は日本に対して賠償を請求しない方針を立てたものの、それは李明博大統領の時代に撤回されることとなります。
日本国内でも、河野談話に対して様々な意見があり、外交関係は混乱しました。
河野談話では軍の関与を認め、「お詫びと反省」を表明しましたが、これに対して「日本軍が慰安婦の強制動員を行っていた」という事実確認が十分にされていないとする主張もあります。
韓国政府は現在、国家として日本政府に対して直接賠償を請求することはしていません。しかし、元慰安婦を名乗る女性により訴訟が起こされています。
教育現場の問題
慰安婦をめぐる議論は現在でも様々な見解や立場があり、ひとつの正しい正解を教えることが難しい現状があります。
また、性的な内容を含むため、教育現場においてどのように伝えるべきか問題になっているのです。
歴代内閣の見解と対応
ここでは、河野談話に対しての歴代内閣の見解と河野談話に関連する対応について紹介していきます。
村山富市内閣
村山氏は1994年7月18日の参議院本会議において、「従軍慰安婦問題についても、このような我が国としての立場は堅持しつつ、我が国としておわびと反省の気持ちをどのように表すかにつきましては、さきの所信表明演説で述べた考え方を踏まえつつ、できるだけ早期に結論を出すべく現在鋭意検討しているところでございます。」と表明しました。
小泉純一郎内閣
小泉氏はアジア女性基金に対して最大限の協力を行っていることを2001年10月3日に表明しました。
また、当時の官房長官であった福田康夫氏は、同年12月3日に行われた参議院外交防衛委員会において、「いわゆる従軍慰安婦の問題につきましての政府の基本的な立場は、現在においても、河野官房長官談話、すなわち平成五年八月四日でございますが、このとおりでございまして、本件は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であると認識しております。」として、談話を踏襲することを表明しました。
安倍晋三内閣
安倍晋三内閣では、河野談話の継承を行う旨を示しました。
菅義偉内閣
菅義偉氏も河野談話を継承する姿勢を見せましたが、「政府としては、「従軍慰安婦」という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、「従軍慰安婦」又は「いわゆる従軍慰安婦」ではなく、単に「慰安婦」という用語を用いることが適切である」と閣議決定しました。
まとめ
慰安婦をめぐる問題は現在でも議論が分かれており、様々な立場があります。その議論の中でも、取り上げられることが多いのが、河野談話です。
それぞれの立場の主張に耳を傾けて、まずは問題がどこにあるのかを考える必要があります。
参考になるサイト・資料
- 外務省|慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話|https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html
- 読売新聞|1993年3月13日付
- 読売新聞|2013年5月14日付
- 国際基督教大学|教育現場における「慰安婦」問題|https://web.icu.ac.jp/cgs/2007/09/nl008_009.html
- 衆議院|馬場伸幸君提出「従軍慰安婦」等の表現に関する質問に対する答弁書|2022年12月16日
- 毎日日報|1935年10月27日付
- 京城日報|1944年7月26日付
- 6師特報第47号|特別報告中重大なる軍紀違反事項に関する件報告|1940