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日本を含む議院内閣制の国はどこ?メリット・デメリットを解説! 

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日本国憲法における内閣制度「議院内閣制」とは

今回は日本の政治制度である議院内閣制についてまとめていきます。議院内閣制を知ることは、実際の国の仕事を行う内閣と国民が直接選挙で選んでいる国会の関係を知ることでもあります。

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議院内閣制とは

議院内閣制とは、内閣の組織と存続の基礎を国会に置く制度のことです。内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決により指名され、行政権の行使において国会に連帯して責任を負うとされています。

行政のトップを、国民からの直接的な選挙ではなく、国民から選ばれた国会からの信頼によって政府が成立するため、政府と議会の結びつきが強い制度とも言えます。

日本以外に、議院内閣制を採用している国には、イギリスやドイツなどが挙げられます。

大統領制との違い

議院内閣制と比較される制度として、大統領制があります。ここでは、アメリカの大統領制を例にみていきましょう。アメリカの大統領は、国会議員とは別の選挙で選ばれます。国会議員の中から内閣総理大臣が選ばれる日本とは異なり、アメリカ大統領は国会議員ではありません。

日本でいうと都道府県や市区町村の政治システムをイメージしていただければ、分かりやすいかもしれません。大統領(都道府県知事)は国民(住民)から直接選挙され、国会(地方議会)の議員ではありません。議院内閣制の国では、議会からの信頼を根拠に政治をしますが、大統領制では国民からの信頼(選挙結果)を根拠に政治をします。

それぞれが国民から選ばれるため、議会と政府の独立性が高い制度といえます。

大統領制を採用している国には、アメリカ、ロシア、ウクライナ、韓国、インドネシア、フィリピンなどがあります。

日本における議院内閣制

ここからは、日本の政治制度について詳しくみていきます。国家権力は、「立法権」「行政権」「司法権」の3つに分けられています。権力を一つの機関に集中させるのではなく、役割ごとに分担することによって、権力の乱用や暴走を防ぐための制度で、これを三権分立と呼びます。

日本では、国のルールをつくる立法権を国会が、そのルールに従って国の仕事をする行政権を内閣が担当しています。内閣のトップである内閣総理大臣は、国会議員の中から国会内の選挙で選ばれます。なお、近年の自由民主党政権下では、与党(自由民主党・公明党)が自由民主党の総裁(党の代表)を内閣総理大臣として指名することが慣例となっています。

内閣総理大臣は、具体的な国の仕事を行う各省庁のトップである国務大臣を任命する権限を持ちます。国会議員を国民が選び、国会議員の中から総理大臣を選び、総理大臣が実際の仕事をする国務大臣を選ぶといったシステムになっています。

内閣不信任決議

衆議院は内閣を信任できない場合に、内閣不信任決議を行うことができます。内閣不信任決議が可決された場合には、内閣は10日以内に総辞職か衆議院の解散をしなければなりません。つまり国会には、内閣のトップを選び、内閣をやめさせる権限があるということです。

衆議院の解散

内閣は、衆議院の解散を行うことができます。厳密には天皇の国事行為ではありますが、内閣による承認を必要とするため、通常内閣に衆議院の解散権があると考えられます。衆議院が解散した場合には、総選挙が行われ、選挙後に内閣が総辞職して、新しく総理大臣(再任あり)が選ばれて新しい内閣が組織されます。

議院内閣制のメリット

議院内閣制のメリットは大きく2つあります。政権の安定と総理大臣の政治責任の問いやすさです。

政権の安定

内閣総理大臣は、国会の多数派と同じグループから選ばれるため、国会と内閣は同じ方向性を向いていると言えます。これによって、政権が安定し、スムーズに法律を可決して政治を行うことができるとされています。多くの場合は内閣総理大臣が与党第1党の党首を兼ねており、選挙での公認権を持つ政党のトップであり行政権を持つ内閣のトップであるため、強大な権限を持ちます。

政治責任の問いやすさ

大統領制では、犯罪行為を前提とした弾劾裁判しか大統領を解任する方法はありませんが、議院内閣制では国会が内閣不信任案を出し内閣を辞職させることができます。つまり、制度上、総理大臣の政治責任を問いやすくなっています。

議院内閣制のデメリット

議院内閣制には、デメリットもあります。

国民が内閣総理大臣を直接的に選べない

議院内閣制では、国会から内閣総理大臣が選ばれるため、国民が総理大臣になってほしい人とは違う人が総理大臣となることがあります。総理大臣を選ぶ選挙に投票できる国会議員を選挙で選んでいるため、間接的には総理大臣を信任しているということになりますが、直接選ばれるべきといった声もあります。

議会の反対が大きい政策が実現しにくい

内閣総理大臣は、国会から選ばれ、国会がやめさせることができるため、国会の反対が大きい政策が実現しにくい現状があります。特に与党内で議論が分かれる事柄においては、与党第1党の地位を脅かしかねない選択を取りにくくなっています。

ねじれ国会の影響を大きく受ける

ねじれ国会とは、衆議院と参議院の最大勢力が異なる状況のことです。衆議院の優越が認められており、一定の手続きを踏めば衆議院の議決を国会の議決とすることもできますが、再審議等による時間的・経済的にコストがかかってしまいます。

まとめ

今回は議院内閣制についてまとめました。ニュース等で、なぜ総理大臣の動きに注目されているのかは、議院内閣制を理解し、総理大臣の権限の大きさを理解することでわかりやすくなるのではないでしょうか。

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