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【人種差別】種類や歴史・解決策を解説!日本にもある?

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人種差別とは?解消への取り組みを考える

みなさんは人種差別について知っていますか。遠い国の出来事のように感じる人もいるかもしれません。しかし、人種差別とはどこでもどんな時代でも見られるものです。この記事では、そもそも人種とは何か、人種差別にはどのようなものがあるのかについて、解説します。

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人種とは?

みなさんは、「人種」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。白人、黒人、黄色人種…あるいはヨーロッパ人、アフリカ人、アジア人。こうした言葉を思い浮かべる人は多いかもしれません。では、そうした分類の根拠は何だと思いますか?肌の色?出身地?そもそも、人種とは本当に存在するのでしょうか?

「科学的」だと信じられていた人種分類

「人種」という概念は、あらゆる生物の分類を試みる博物学的な考えから派生しました。肌の色や髪質、頭蓋骨の形・大きさなど、身体的な特徴に基づいて、人間のことも分類しようとしたのです。ところが、こうした分類は、知能や身体能力といった特徴とも結び付けられるようになります。ある人種は生まれつき美しく、優れていて、ある人種は生まれつき醜く、劣っているのだ、ということが様々な「科学的」実験によって示されるようになるのです。たとえば、白人は黒人よりも頭蓋骨が大きいから知能が高い、知能指数の統計データによるとある人種の方が賢い、だとか。しかし、こうした実験結果はそもそも人種に対する偏見を前提に生み出されたもので、データの集計方法や論理に問題があり、決して「科学的」と呼べるものではありませんでした。

「社会的」につくられた人種概念

現代では人類遺伝子のゲノム解読が進んだことで、現代人がみな同じ起源の遺伝子を持っていることが明らかになりました。確かに私たちの皮膚の色や体格は地域によって違いがありますが、それは環境の作用によるものだと考えられています。また、黒人は運動能力が高い、アジア人は勉強ができるといったステレオタイプが数値として表れることがありますが、それは生まれつきそのような違いがあるのではなく、生まれ育った家庭環境や経済状況、文化・慣習に影響を受けて変わったものなのです。つまり、「人種」による違いに科学的根拠はなく、「人種」という概念自体が歴史的・社会的につくられたものなのです。また、現在では「人種差別」という言葉はより広い意味で捉えられるようになっており、白人/黒人の区別だけでなく、民族や出身地に基づく差別であれば人種差別であるといえます。

世界の人種差別の例

人種や民族に基づく差別は、いつの時代にも世界中で存在してきました。たとえば、アフリカ系アメリカ人やユダヤ人に対する差別があります。

アメリカにおける黒人差別

かつて、アメリカで黒人が奴隷として酷使されていたことはよく知られています。1863年に奴隷解放宣言が出された後も、黒人(アフリカ系アメリカ人と呼ばれることもあります)に対する偏見や差別は残り続けました。たとえば、電車やバスの座席、トイレ、学校などは白人と黒人とで使用する場所をはっきりと区別され、ルールに従わない黒人は暴力を受けたり逮捕されたりしました。当時は裁判で”separate but equal(分離すれども平等)”という判決まで出され、黒人を白人から隔離することが法的に正当化されていたのです。

ユダヤ人差別とホロコースト

紀元前、聖地エルサレムを追われたユダヤ人はヨーロッパ各地に離散しましたが、歴史上長きにわたって迫害の対象となってきました。それが最も残酷な形で現れたのがナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人の大量殺戮)です。1933~1945年のナチス政権下で、約600万人のユダヤ人が、アウシュビッツなどの強制収容所に連行され、毒ガスなどで殺害されました。第二次世界大戦後は、このような集団殺害を繰り返さないために、ドイツ国内や国際連合にて様々な方法でホロコーストが記録されています。

今もなお残る人種差別

肌の色や出身に基づく差別を禁止する国際条約・法律が制定されるなど、国際的な人権意識の高まりによって、こうした人種差別は少しずつ減ってきたようにも見えるかもしれません。しかし、残念ながら人種差別は決して過去のものではありません。

たとえば、#BlackLivesMatterというハッシュタグを知っていますか。直訳すると「黒人の命も大切だ」という意味です。白人警官による黒人への過剰な取り締まりに抗議するための合言葉として広まったもので、BLM運動と略されます。

きっかけとなったのは、2012年2月アメリカのフロリダ州で、当時17歳だったトレイボン・マーティンが「フードを被っている怪しい黒人少年」とみなされ、自警団員に射殺された事件でした。射殺した男性は当初、逮捕すらされず、地元警察には批判が集まりました。しばらくして男性はようやく殺人罪で起訴されましたが、無罪判決となり、それに対する抗議として#BlackLivesMatter が使われるようになりました。

このハッシュタグはさらに、2020年5月、ミネソタ州で起こった事件によって世界中に広まることとなります。白人警官がアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドを拘束、無抵抗だったにもかかわらず首の圧迫を続け、彼はそのまま亡くなってしまったのです。このような過剰な取り締まりによる死亡事件は過去にも多くありましたが、その一部始終が撮影、SNSで拡散されたことで問題が明らかとなり、黒人に対する人種差別だ、と全米各地で激しい抗議デモが起こりました。

日本にも人種差別がある?

ここまではアメリカの黒人差別や、ヨーロッパを中心とするユダヤ人差別など、海外の人種差別を取り上げてきました。それでは、日本には人種差別はないのでしょうか?答えは、いいえ。残念ですが日本でも同じように、過去から現代まで人種差別は常に存在しています。

琉球・アイヌの人々に対する差別

かつて、沖縄には琉球民族が、北海道や樺太にはアイヌ民族と呼ばれる人々が住んでいました。それぞれ沖縄と北海道の先住民であったといえます。しかし、日本国の統一という名のもと、かれらは自治権を奪われ日本の支配下に置かれただけでなく、「日本人」としての同化を強要され、今ではかれら独自の伝統・文化の多くが失われてしまいました。以前のようにかれらを「土人」と蔑称で呼ぶ人はいないと思いたいところですが、沖縄では戦後一方的に米軍基地の負担を負わされたり、北海道では旧土人保護法によって土地が収奪されたりと、琉球・アイヌの人々に対する構造的な差別は今でも根強く残っています。

同和問題

同和問題、あるいは部落差別とも呼ばれる問題もあります。特定の地域を「部落」と呼んで蔑み、部落出身者を教育や就職、結婚など生活の様々な場面で差別するものです。これは日本に非常に長く根付いてしまっている差別で、直接的には江戸時代の穢多(えた)・非人(ひにん)という、士農工商よりさらに一番下に置かれていた人々への差別が残ったものだといわれていますが、その差別意識は室町時代ごろまで遡るともいわれています。今でも部落出身とみなされる人々は、自分の出自を人に伝えることを躊躇ったり、出身地を打ち明けると差別的な対応を受けたりする問題が残っています。

外国人差別

また、単一民族国家であるという幻想が今なお根強い日本では、外国人や外国にルーツをもつ人々に対する差別が問題になっています。たとえば、外国籍であることによって義務教育や生活保護の対象外とされる制度的な差別や、賃貸の契約を断られる、日本語ができないと思われて十分な情報を提供してもらえない、電車など公共の場で避けられるなど、ステレオタイプや偏見に基づく差別などがあります。時には「国へ帰れ」などの過激な言葉を浴びせられることもあり、特に在日コリアンやクルド人に対するヘイトスピーチは近年大きな問題です。

人種差別解消に向けて必要なこと

それでは、人種差別解消のためにどんな取り組みが行われているのでしょうか?また、私たちにできることは何があるでしょうか。

差別を禁止するための法整備

まずは、人種差別を禁止する制度をつくることが挙げられます。国際的には、人種や皮膚の色、出自などに基づく差別を禁止する人種差別撤廃条約が、1965年に採択されています。日本も1995年に加入しましたが、既に条約の内容は達成されているとして、国内で新たな法律は制定されませんでした。しかし、諸外国が差別禁止法を持っている中、日本には現状そのような法制度がありません。自治体レベルでは、神奈川県川崎市が2023年、相模原市が今年2024年に、ヘイトスピーチ禁止条例を制定しており、今後こうした動きが広がることが期待されています。

人種差別について知る

人種差別は多くの場合、無意識のうちに自分の考えに染みついていたり、あるいは構造的に差別が社会に組み込まれていたりして、気付かないうちに誰かを差別してしまっていることが少なくありません。このため、まずは人種差別の歴史や、今ある差別について少しでも多く知ろうとすることが一番大切です。知らなければ差別に気付くことができず、結果的に差別に加担するすることになってしまうからです。

まとめ

人種差別の歴史は長く、複雑なものです。この記事では代表的な差別の事例を挙げましたが、人種差別はいつどこでも起こりうるものです。特に現代では、一見するとそうは見えないような構造的な差別も多く存在します。ステレオタイプや偏見を無くすことは難しいですが、自分のもつ偏見や社会に隠された構造的差別に目を向けることが、人種差別撤廃への第一歩といえるでしょう。

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政経百科編集部
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