【沖縄社会大衆党】社大党とは?政策・設立経緯・現在の動向など
沖縄発の地域政党!沖縄社会大衆党とは?
沖縄にルーツを持つ国政政党、沖縄社会大衆党。沖縄に地盤を持っているためか、それ以外の地域に住む人々の知名度はほとんどありません。今回は、そんな社大党について解説していきます。
概要
- 委員長:髙良鉄美
- 書記長:当山勝利
- 設立:1950年
- 国会議員数:1人
- 都道府県議員数:2人
- 市区町村議員数:2人
- 党員数:75人
設立初期
沖縄社会大衆党(以下、社大党)は、1950年に沖縄で結成されました。初代院長は当時の知事であった平良辰雄氏であり、結党宣言においては「政治は民衆のためのものであり、民衆のものであるということの自覚と責任」「ヒューマニズムを基底とした国民政党」「大衆の力を結集しての新琉球建設」という3つの目標を掲げました。
結党当初の社大党の最大の目標は「沖縄の祖国復帰」であり、1951年には常任委員会において日本への復帰署名運動を行うことを決定。沖縄の日本復帰のため、要望書を日本政府やアメリカ政府に提出しました。
1968年1月、当時のアメリカ大統領ジョンソン氏は、沖縄の行政が主体となった選挙を認め、同年11月の立法院議員選挙と同時に、主席公選を実施することになりました。
社大党は沖縄社会党、沖縄人民党などの革新政党とともに共闘し、保守派の候補者に圧勝。屋良朝苗氏が行政主席に就任しました。
沖縄復帰のその後
1979年、沖縄返還によって沖縄は日本に復帰しました。当時、他の沖縄の政党が本土の革新政党と合流する中、社大党は他党と合流せず、沖縄の地域政党として存続させる道を選びました。
同年に行われた沖縄県議会選挙では、社大党は候補者全員が当選。議席を7から12に増やすなど大躍進を遂げました。この出来事を、沖縄の地元メディア沖縄タイムスは「大衆闘争が低迷する中で、土着政党としての社大党の役割を期待する」と、良い評価をしています。
しかし、1976年に行われた選挙では議席数を大幅に減らし、党勢が下降し始めます。1980年になると当時の委員長までもが落選し、党は危機的な状況に陥ります。この状況を、沖縄の地元メディア琉球新報は「社大、重大な危機に」と報じました。
現在の動向
2020年、社大党は結党70周年を迎えました。それを受け、第13第委員長の高良鉄美氏は「日本国憲法の精神を堅持し、平和で民主的な真の地方自治の確立により、豊かな沖縄の建設を図ることを目指す」という談話を発表しました。
また、社大党は社民党・共産党などの革新政党と選挙において協力関係にあります。ところが1998年の選挙を機に公明党が革新勢力から離脱し、与党に加わってからは苦境が続いており、革新政党間でも考えの違いや政策の方針をめぐって関係が悪化しました。
しかし、2014年の総選挙から「反米軍基地」で協力刷る体制が整い、現在でも社大党を含む革新政党のグループ「新風会」「おきなわ(旧県民ネット)」などの勢力が、沖縄県議会において過半数を占めています。
政策
憲法
社大党は日本国憲法の前文と9条を尊重する立場をとっており、それに伴って日米安全保障条約の破棄を訴えています。
外交・安全保障
在日米軍基地の返還・整理・縮小を求めており、最終的には米軍基地0を目指しています。また、日米地位協定の抜本的な改革を求めています。
他にも、石垣市に所属する尖閣諸島に関し、中国側の主張の中で問題のある部分を外務委員会で取り上げたうえで、日本側の立場において嫌疑がなく、中国政府に対して毅然とした対応を取っているのかと質問したことがあります。
地方自治
社大党は道州制を推進しており、沖縄県を解体・再編して沖縄特別自治州を設置するよう主張しています。
環境保護
貴重な沖縄の自然を守るため、社大党は世界自然保護基金(WWF)や国際自然保護連合(IUCN)と連携し、世界自然遺産登録を推進しています。具体的には、サンゴの保護・再生やジュゴンの生息域の確保を目指しています。
また、自然環境を保護したうえで、離党のインフラ整備や公共交通機関の運賃の軽減を主張しています。
公共交通
沖縄独自の鉄道の敷設や新型路面電車の建設など、新たな公共交通機関の整備を図っています。
まとめ
沖縄に地盤を置きながら、国政にも進出している社大党。
沖縄の日本復帰に貢献し、沖縄の改革を目指すこの党は、現在も活動を続けています。
参考になるサイト・資料
- 沖縄社会大衆党公式HP|https://okinawa-shadai.jp/
- 沖縄県立図書館,鳥山淳,1999,「沖縄群島の戦後初期政党関係史料について」,『史料編集室紀要 第24巻』,65頁
- 沖縄国際大学南島文化研究所,西原森茂1983,「沖縄の復帰運動についての一視点」,『南島文化 第5巻』,32頁
- 琉球大学法文学部,江上能義,1996,「沖縄の戦後政治における「68年体制」の形成と崩壊(上)」,『琉大法学第57号』,10頁,11頁,14頁,24頁,27頁,28頁,29頁,30頁
- 琉球新報|大結党70年 低迷打開へ若者照準「フットワーク軽い組織に」|https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1217761.html
- 沖縄県議会|沖縄県議会各派名簿|https://www2.pref.okinawa.jp/oki/meibo.nsf/Web_Kaiha?OpenView&count=999