国内政治

【解説】内閣って一体何をしている?行政・閣議などの似ている用語との違い

hensyubu

よくニュースで聞く「内閣」って一体なに?

今回は、実際の行政を担当し、みじかな政策を実行する内閣の組織をまとめていきます。内閣や大臣の中にはどんなことを担当する人がいるのか、内閣の各機関は何を担当していくのかをわかりやすくまとめていくので、ぜひ最後までご覧ください。

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内閣とは

国会で定められた法律・予算に従い実際に国の仕事を行うのが内閣です。三権分立においては、行政権に当たります。国会で指名された内閣総理大臣をトップに内閣総理大臣から指名された国務大臣で構成されます。閣議と呼ばれる会議によって意思決定を行い、それぞれの具体的な行政は内閣のもとにある省庁などの機関によって行われます。内閣を構成する総理大臣および国務大臣は閣僚とも呼ばれます。

行政とは

行政とは、法律の執行や外交関係の処理、条約の締結、予算案の作成などの国が行う様々な仕事のことを言います。行政権の範囲はとても広く、定義するのが難しいため、国の作用のうち三権分立における立法権・司法権以外のものと考えて問題ありません。法律にしたがって犯罪を取り締まる、福祉や教育を充実させる、政治を行うために税金を集めるなども行政にあたります。

閣議とは

閣議とは、内閣の意思決定を行うための会議です。閣議は総理大臣が主催し、内閣官房長官が進行を担当します。また、閣議には閣僚の他に内閣官房副長官と内閣法制局長官が出席し、運営の補助や議案の説明をします。議案によっては、担当大臣から説明する事もあります。閣議の意思決定には、内閣の全会一致を必要とします。

各大臣が自由に発言できるよう閣議自体は非公開で行われ、内閣官房長官の記者会見で概要が発表されます。議事録は、首相官邸のHPで閲覧可能となっています。

閣議には、定例閣議、臨時閣議、持ち回り閣議があります。定例閣議は、毎週火曜日と金曜日の週2回、総理大臣官邸閣議室で午前10時から行われます。そのほかのタイミングで、必要に応じて開催される閣議を臨時閣議と呼びます。

早急な決定が必要な案件には、持ち回り閣議と呼ばれる形を取る場合もあります。持ち回り閣議とは、閣議書と呼ばれる内容の書かれている文書を持ち回り、各大臣が署名する事によって意思決定する方法のことです。各大臣が閣議室に集まる必要がないため、臨時閣議よりも素早く意思決定ができます。国務大臣全員の署名が揃うと閣議決定となります。

閣議決定とは、法律や憲法で規定されている閣議の決定が必要な案件や、法律への規定がないが重要な案件を議決することを指します。閣議決定に加え、本来は各大臣で決定できるものの他の省庁にも影響のある案件に関して、他の大臣の意見を聞き、了解を得る閣議了解というものもあります。

参考:https://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/1-2-5.html

内閣の構成

内閣のトップは内閣総理大臣(首相)で、現在は岸田文雄総理が就任しています。内閣総理大臣は、国会議員の中から選ばれ、国会の中で選挙されます。その他の内閣のメンバーは、内閣総理大臣により任命された国務大臣で構成されます。内閣総理大臣は、内閣のメンバーを自由に選び、やめさせる事ができます。現在の国務大臣の定員は16名(内閣総理大臣を除く)とされており、特別な必要がある場合は19人まで増やすことができます。また、内閣総理大臣が欠けた時に、一時的に内閣総理大臣の職務を行う副総理大臣を国務大臣の中から選びます。

内閣の下には、具体的な行政を担当する外務省や財務省などの省庁が置かれています。各省庁のトップは、外務省なら外務大臣、財務省なら財務大臣といったように国務大臣の一員です。国務大臣の過半数は、国会議員であると法律で規定されていますが、民間人から選ぶ事もできます。また、国務大臣は文民(自衛官でない人)でなければならないとされています。

各省庁と国務大臣

現在内閣の下には、1府12省庁が置かれています。これは、2001年に1府22省庁から再編され、現在の大枠ができました。

上記の資料のように内閣の下に各省庁が置かれ、具体的な行政を担当します。ここでは、各国務大臣が担当する省庁とその役割について、簡単にまとめていきます。

内閣総理大臣(首相)

内閣の代表として、内閣・行政の指揮監督を行います。また、国務大臣の任命も内閣総理大臣が担当します。

総務大臣(総務省)

総務省は行政運営の改善(各省庁の評価)、地方行財政(地方自治体関係の業務)、選挙、消防防災、情報通信、など、国家の基本的仕組みに関わる制度や、国民の経済・社会活動を支える基本的システムを担当します。

法務大臣(法務省)

法務省は、司法制度、国籍・戸籍や登記などの民事行政、検察、行政訴訟、出入国管理、人権擁護、司法書士関連の行政等、主に法律に関する行政を担当しています。

外務大臣(外務省)

外務省は、外国との交渉や交流、条約等の締結、国際連合やその他の国際機関との協力、在留邦人(国外に滞在する日本人)の保護、など主に外交に関することを担当します。大使館、領事館も外務省の管轄です。

財務大臣(財務省)

財務省は、予算の作成や決算、税金や関税制度に関する事、国庫の管理、貨幣や国債の発行、日本銀行の運営などお金に関わる事を担当します。また、たばこ税・酒税の関係から、たばこおよび酒類関連の製造販売も管轄しています。

財務省の下には国税庁があり、税務署は国税庁が管轄しています。

文部科学大臣(文部科学省)

文部科学省(文科省)は、教育、科学技術・学術、スポーツ・文化の振興といった行政を担当しています。各都道府県の教育機関や教育委員会への指導や助言も、文部科学省が行い、学校教育全般を担っています。

厚生労働大臣(厚生労働省)

厚生労働省(厚労省)は、健康、医療、介護、福祉、雇用、労働、などを担当します。具体的には、年金・社会保険料に関する行政や医療制度の充実、労働環境の整備などをおこないます。労働基準監督署も厚生労働省の管轄です。

農林水産大臣(農林水産省)

農林水産省(農水省)は、食料の安定供給、農業・林業・水産業・畜産業の発展、森林保全、水産資源の管理等を担当します。生命を支える食と、安心して暮らせる環境を未来の子供達に継承していくことをミッションとしています。

経済産業大臣(経済産業省)

経済産業省(経産省)は、経済と産業の発展、鉄鋼資源・エネルギー資源の供給に関する行政を担当します。中小企業の育成・発展や特許に関する行政も経済産業省に含まれます。

国土交通大臣(国土交通省)

国土交通省(国交省)は、国土(その国の持つ土地や海域のこと)の利用や開発・保全、交通政策、気象業務、海上の安全や治安の確保などを担当します。観光庁、気象庁、海上保安庁も国土交通省に含まれます。

環境大臣(環境省)

環境省は、廃棄物対策やリサイクル、公害規制、自然環境や野生動植物保護・保全、地球温暖化、オゾン層保護、化学物質、海洋汚染防止、森林・緑地・河川・湖沼の保全、環境影響評価、放射性物質の監視測定などを担当します。

防衛大臣(防衛省)

防衛隊は主に自衛隊の管理・運営および日米安全保障条約に係る事務を担当します。自衛隊は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の三隊で構成されています。防衛出動の他にも、災害派遣、領空侵犯対応、海上警備、海外派遣、不発弾処理等も自衛隊が担います。

内閣官房長官(内閣官房)

内閣を補助し、内閣総理大臣を直接補佐・支援する内閣官房という機関の事務を統括する役割を果たします。内閣官房は、閣議事項の整理、行政各部の総合的な調整、重要政策に関する情報収集調査等を行います。また、内閣官房長官には、政府の公式見解等を発表する役割や国会との調整等も任されており、「総理の右腕」「内閣の要」とも呼ばれております。

デジタル大臣(デジタル庁)

デジタル庁は、デジタル社会形成に関する事務を内閣官房とともに助け、行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを目的としています。国・地方行政のIT化やDXの推進を目的として、IT分野を担当します。

復興大臣(復興庁)

復興庁は、東日本大震災からの復興を目的に、2012年に設置されました。地震による直接的な被害だけでなく、福島第一原子力発電所事故による被害からの復興も担当します。2013年から徴収されている復興特別所得税と復興特別法人税は、復興庁の活動に使われています。

国家公安委員会委員長(国家公安委員会)

国家公安委員会は、内閣府に属し、警察庁を管理します。警察庁は全国の警察組織の取りまとめを行います。

内閣府特命担当大臣(内閣府)

必要に応じて、内閣府に置かれます。省庁は所管せずに内閣総理大臣を補佐します。

職名は、「内閣府特命担当大臣(〇〇担当)」のように括弧付きで表記されます。定数についての定めはなく、防災担当、沖縄及び北方対策担当、金融担当、消費者及び食品安全担当、こども政策担当、少子化対策担当、若者活躍担当の7つは、必置とされています。近年は内閣府特命担当大臣が多く置かれる傾向にあり、兼務も多く見られます。

その他の大臣

省庁を所管せず、時々に重要とされる政策に対して置かれ、内閣総理大臣を補佐する大臣を任命することもできます。現在は、国際博覧会担当大臣(万博担当大臣)や女性活躍担当大臣等が置かれています。

まとめ

今回は、実際の行政を担当し、みじかな政策を実行する内閣の組織をまとめました。気になる政策や社会課題をどの省庁が担当しているのか等を知ることで、問題を様々な視点から考えることに繋がると思います。これからも政経百科では、政治経済をわかりやすくお伝えしていくので、ぜひご覧ください。

参考文献

https://www.kantei.go.jp/jp/kids/sasaeruhito_daijin.html

https://www.homemate-research-public.com/useful/19103publi004

各省庁HP

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政経百科編集部
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