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【公明党】歴史や政策、宗教との繋がりを簡単に解説 

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結党60年・公明党の歩みやスタンスについて解説

街中で「公明党」と書かれた選挙ポスターなどを見たことがある人がいると思います。

また、テレビやSNS空間などでも「公明党」という言葉を見聞きしたことがあるでしょう。

しかし、公明党がどのような政党か、どのような政策を掲げているのか、

あまり知らない人が多いのではないでしょうか。

今回は「公明党」について、解説していきます。

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公明党の概要

代表:山口那津男

副代表:北側一雄

    古屋範子

    斉藤鉄夫

幹事長:石井啓一

国会議員数:59人(衆議院32人、参議院27人)

都道府県議員数:197人

市区町村議員数:2,689人

党員数:約450,000人

政治的思想・立場:中道、平和主義、リベラル、人間主義(ヒューマニズム)など

キャッチコピー:「声を、聴く力」

支持団体:創価学会

設立の背景と政界進出

公明党のルーツは、1954年、日蓮正宗という仏教の宗派の信徒団体であった「創価学会」が設立した文化部にあります。

創価学会は日蓮正宗に破門されたことをきっかけに、宗教法人として規模を拡大した仏教の宗派を自称しています。

第3回統一地方選挙において53議席を得たことをきっかけに、1956年の第4回参議院議員選挙で3議席を、1967年の第31回衆議院議員選挙で25議席を獲得します。これにより、創価学会の文化部は国政の道を進むことになったのです。

2代目会長の戸田城聖氏は「国民生活を改善するには、密接に関わっている政治を変革することが大事である」「政界に創価学会の人材を輩出し、より良き社会を建設する(公明党史編纂委員会,2019)」ことを掲げ、積極的に創価学会の学会員による政界進出を後押ししました。

池田大作氏が3代目の会長に就任すると、創価学会の政界進出の動きは加速、1961年11月には現在の公明党の前身となる「公明政治連盟」が誕生しました。

そして1964年、創価学会から公明政治連盟が独立したことにより、「公明党」が誕生しました。

連立政権への参加

着実に議席と獲得票数を伸ばしていた公明党。大きな転機が訪れたのは、1998年の参議院選挙です。

大幅に議席を減らすことになった自民党は「政教分離に反するのではないか」という内外の声を受けつつも、背に腹は代えられないと公明党に接近します。

1999年に自民党、自由党、公明党の連立政権が誕生したのです。

自由党はその後政権を離脱しますが、離脱に反対した自由党議員は保守党を新たに結成して自民党との連立を維持。やがて保守党所属の議員たちは自民党に合流し、現在の自民党と公明党による連立政権が誕生しました。

公明党は創価学会を支持団体に持っているため、選挙の際には大量の創価学会員による組織票が得られます。

また、創価学会員の求める政策を達成するためには、与党でいることが重要となります。

組織票が欲しい自民党と、学会員の政策をかなえてほしい公明党、両者の思惑がぴったりと一致したため、現在まで自民党と公明党による連立政権は続いているのです。

党の政策・考え方

ここからは、公明党の政策について、分野ごとにみていきます。

憲法

自民党や他の政党が主張するように「改正」を行うのではなく、時代の流れに伴って新たな条文を書き足していく「加憲」という独自の立場を取っています。

外交・安全保障

代表の山口氏は「新しい中道」という方針を唱え、これについて「あるべき価値観を見据え、一方に偏ったり、切り捨てたりせずに合意を形成していくこと」と説明しました。

2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵略に際しては、同年9月29日、岸田文雄総理に対し、ウクライナへの支援を強化する提言をしました。

また、2016年に自民党との協議の結果、日本国憲法の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を限定的に容認しました。

経済

2008年のリーマンショックに起因する日本経済の危機を受け、公明党はゼロ金利や量的緩和を視野に入れた金融政策を強調します。

大規模な財政出動など、政策を総動員しました。

2022年に行われた参議院選挙では「持続的な賃金上昇を実現」「働き方を自由に選べる社会」などの政策を発表しました。

また、ロシアによるウクライナ侵略に伴う物価の上昇を受け、自民党に対し補正予算も検討する必要があると明言。電気、ガスの料金の高騰対策に関しても要請を行いました。

福祉

公明党は結党以来、福祉に力を入れてきました。

1969年には公明党の働きかけにより、東京都に児童手当制度が創設。連立政権発足後の2000年には国による児童手当制度がスタートし、2006年には受給範囲が小学校6年生まで広がりました。

ほかにも軽減税率導入を主導し、幼児教育の無償化や奨学金制度の拡充、PKO協力法の制定など、公明党は幅広い分野で政策を実現させています。

政教分離の話

公明党はしばしば「政教分離」反しているのではないかという意見が様々な場所で散見されます。

しかし、政教分離とは「国家が特定の宗教を擁護したり、国民に強制する」ことを禁止しているものであり、単に宗教団体が政党を応援することは問題ありません。

まとめ

特異なルーツを持ちつつ、自民党と連立政権を組んでいる公明党。

福祉や経済において存在感を発揮していることが評価されている一方で、中には「創価学会との関係性」において一部批判の声があがっていることも事実です。

選挙の時には必ず聞く政党名ですので、ぜひ覚えておきましょう。

参考文献

薬師寺克行,2016,「公明党 創価学会と50年の軌跡」,中公新書

公明党史編纂委員会,2019,「大衆とともに―公明党50年の歩み」

公明党,n.d,「憲法」|https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11093887/www.komei.or.jp/more/understand/constitution.html

FACTA,宮嶋巌,2015,『自公連立政権に推進力 数に驕らぬ「中道政治」』|https://facta.co.jp/article/201502006.html

時事.com,2022,「高官のウクライナ派遣提言 公明」|https://web.archive.org/web/20220929104450/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022092901046&g=pol

公明党,2008「生活、中小企業で成果」|https://web.archive.org/web/20081227061632/http://www.komei.or.jp/news/2008/1225/13352.html

東京都議会,2006,「平成18年第2回定例会」,Vol.8

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政経百科編集部
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