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【グローバルサウス】どこの国?日本との関係やグローバルノースとの違いなどを分かりやすく解説!

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グローバルサウスとは?特徴・課題・問題点など

近年、世界中でグローバルサウスと呼ばれる国々が注目されています。

グローバルサウスとはいったいどのような国を指し、どのような影響を世界にもたらすのでしょうか。

今回はグローバルサウスについて詳しく解説していきます。

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グローバルサウスとは?

グローバルサウス(Global south)とは、先進国に比べて工業力などが低く、経済発展の途上にある国々を指します。

グローバルサウスに明確な定義はありませんが、主に地球の南半球にそういった国々が多いことから名付けられました。

グローバルサウスに対して、欧米諸国や日本、韓国などの国々は、グローバルノースとも言われます。

なお、南半球に新興国・途上が多く、北半球に先進国が多いといった傾向はありますが、単に地理的な分類ではなくその国の状況に応じて分類されるのが一般的です。

どこの国?グローバルサウスの具体例

では、グローバルサウスにはどのような国があるのでしょうか?

前述の通り、明確な定義づけはされていませんが、代表的な国をご紹介します。

  • アジア・太平洋地域:インド、インドネシア、北朝鮮、マレーシア、モンゴル、パキスタン、フィリピン、タイ、フィジー、サモア、(中国)など
  • 中東・アフリカ:南アフリカ、サウジアラビア、エジプト、エチオピア、イラン、イラク、ケニア、リビア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦など
  • 中南米:ブラジル、アルゼンチン、チリ、キューバ、ペルー、ウルグアイなど
  • ヨーロッパ:ボスニア・ヘルツェゴビナなど

1964年に77か国の発展途上国で発足した国連の「G77」や、2023年1月に開催された「グローバルサウスの声サミット」に参加した国などを対象とする考え方もありますが、各国の情勢は変化し続けているため、適切な定義を行うことは難しいとされています。

グローバルサウスの現状・特徴

グローバルサウスは様々な問題を抱えているのが現状です。ここではグローバルサウスが抱える問題について見ていきます。

安価な労働力

私たちが普段使うモノのなかには、グローバルサウスの国で作られたものが多数あります。

特に価格の安い雑貨や洋服などは、バングラデシュやベトナムなど、グローバルサウスの国々の安い労働力で作られている可能性があります。安い賃金に加え、長時間、劣悪な環境下で働いていることも想定され、問題視されています。

2013年にバングラデシュで起こった、「ラナ・プラザの悲劇」というビル崩壊事故は、この問題を世界に知らしめ、大きなニュースとなりました。

資源と農産物の枯渇

グローバルノースの人々の生活は、グローバルサウスに住む人たちが掘り起こした資源や、栽培した農作物を輸入することで成り立っている側面があります。

しかし、過剰な採掘や農作物の栽培は、原産国の資源が枯渇するという問題へと発展しています。これは、現地の地球環境を傷つけると同時に、水不足や資源の不足にも繋がっています。

環境問題

先進国に輸出するモノを大量に作るため、土地を開拓し大規模な工場を作ることは、空気汚染や水質汚染、土壌汚染など、生産する土地に大きな負担をかけます。

そのような環境破壊は、地元の人々の健康被害のリスクが高くなり、ときには住処を奪われることがあるなど、生活の質の低下を引き起こします。

また、ツバルなどの島国では、地球の温暖化が進むことで海面上昇が起こり、土地が失われる事例も発生しています。温暖化の被害を受ける国の多くがグローバルサウスであると言われているのです。

グローバルサウスとグローバルノースの違いと特徴

グローバルサウスの対義語とされるのがグローバルノースで、経済的に豊かである国を指します。

グローバルサウスといった国々が、労働問題や環境問題、経済格差などを課題として抱える一方で、先進国とも言われるグローバルノースでは以下のような課題を抱えています。

  • 人口減少
  • 都市部への人口集中や地方の衰退
  • 他国へプラスチックゴミ処理の負担を押し付けてしまっている
  • 先進国として、途上国への支援や気候変動への取り組みを期待されている

なぜ、グローバルサウスへの注目が高まっているのか?

グローバルサウスはさまざまな課題を抱えていますが、近年経済的にも政治的にも、国際社会での存在感が高まってきています。

グローバルサウスが世界の国々の大多数を占めるというだけではなく、経済的には2050年までにグローバルサウスの名目GDPの合計が米国や中国を上回る規模にまで拡大すると見込まれること、人口面でも、2050年までにグローバルサウスで全世界の3分の2を占めるようになると予測されていることが挙げられます。

グローバルサウスが連携して声を増幅させていこうという動きも加速しており、先進国側でも、グローバルサウスの存在感の高まりを受け、グローバルサウスへの関与を重視し見直すといった潮流が生まれています。また、ウクライナ危機後、民主主義を掲げる西側陣営(米欧や日本など)と権威主義陣営(中国やロシア)のどちらにも属さないグループとしてのグローバルサウスの立ち位置にも注目が集まっています。

日本とグローバルサウスとの連携・関係

日本はグローバルサウスに対してどのような対応をとっているのでしょうか。我が国のアプローチを見ていきましょう。

インドとの連携強化

クアッド(Quad/日米豪印戦略対話)での協力関係をはじめ、日本はインドを重要な戦略的パートナーと位置付けています。2023年5月に開催されたG7広島サミットでは、議長国である日本がインドを招待しました。両国は経済面や安全保障面での協力関係を深めており、高官レベルでの対話や経済協力の推進が進められています。

投資対象として注目

日本企業はグローバルサウス諸国を投資対象として注視しており、その経済成長や市場の拡大に期待しています。グローバルサウスの株式に実質的に分散投資を行う銘柄も登場しています。また、インフラ整備やエネルギー関連などの分野においても、日本企業の進出が活発化してきています。インドでは日本の新幹線が導入されており、投資だけでなく技術移転や人材育成などの面でも積極的な取り組みを行っています。

「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」

日本の内閣府は2023年に「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」を開催しました。この会議には経済産業省や外務省など関係省庁が参加し、グローバルサウスとの経済的・政治的な協力強化に向けた戦略を検討しました。

脱炭素分野におけるASEANとの連携

東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)との関係強化を図るために、日本は脱炭素分野での技術提供に期待しています。ASEAN諸国は成長と脱炭素を両立した発展が必要な段階にあり、そのための外国からの投資を求めており、日本はG7中で一人当たりのエネルギー消費量(家庭部門)がもっとも低く抑えられているなど、高い技術力や経験を有しています。また、背景として、ASEAN各国と同様に人口密度が高く、また、再生可能エネルギーに必要となる広い用地を確保するといった問題を有しているため、こういった課題の解決に日本が持つ技術の活用が期待されており、今後ASEAN各国の発展に向けて貢献していくことが予想されます。

まとめ

グローバルサウスの動向は今後の世界の動きを変えてしまうほど重要なものです。

まだまだ課題を抱えているグローバルサウスは今後どのように変わっていくのでしょうか。

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政経百科編集部
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