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【非承認国家】北朝鮮、台湾、パレスチナなどの事例や定義・意味などを解説!

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非承認国家とは?事実上の国家との違いは?

みなさんは非承認国家を知っているでしょうか?現代において「国家」は政治の基本単位となっていますが、世界には国家のような実態を持つにもかかわらず、国家としてみなされない国が存在します。

この記事では、そもそも国家とは何か、非承認国家とはどのようなものなのか、その具体例と共にわかりやすく解説します。

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そもそも「国家」とは?

一般的に、国家となるには「主権・国民・領土」の三要素が必要だと言われています。ここでいう「主権」とは、他の国家から内政干渉を受けることなく、自分たちの国のことを自分たちで決められる決定権を持つことを指します。また、「国民」とはその土地に永続的に住む住民を、「領土」とはその国が独占的に統治する権利をもつ土地を意味します。

国際法上はこれら三要件に加えて、1933年のモンテビデオ条約を基に「他国と関係を取り結ぶ能力」、いわゆる外交能力も国家の条件として定義されています。

つまり、主権、国民、領土、外交能力の4つを備えていれば、国家としてみなされるということになります。

非承認国家とは?

ところが、実際にはこれら4つの条件を兼ね備えていても、正式な「国家」として国際社会では認められていない国もあります。こうした国は「非承認国家」と呼ばれます。非承認国家の実態は様々ですが、国家の要件である領土や国民、統治能力のある政府を持っていることは少なくありません。それにもかかわらず、影響力のある国家から承認を得られなければ、国際社会で独立国家としては認められないのです。ある国が「国家」として認められるためには、実は他国から広く承認されることが重要であるといえます。

2024年現在、日本が承認している国家は195か国(日本を含めると196)ある一方で、国連に加盟している国家は193か国となっています。これは、その国の歴史的・政治的な立場によって、どの国を国家として認めるかが大きく異なるためです。

非承認国家、未承認国家、事実上の国家の違いはある?

「非承認国家」は英語でunrecognized stateと呼ばれますが、これは「未承認国家」と訳される場合もあります。いずれも「承認されていない」状態にある国を指す言葉で、意味の違いはありません。

また、こうした国は「事実上の国家」と呼ばれる場合もあります。実質的には国家として機能しているにもかかわらず、国家として認められていない国を指しますが、意味するところは非承認国家や未承認国家とほとんど変わりません。

非承認国家の具体例と現状

それでは、非承認国家とは具体的にどのような国を指すのでしょうか?ここでは、日本とも関係の深い3つの国について紹介します。

台湾

台湾は、独自の政府や選挙制度、通貨、確立された経済圏を持つにもかかわらず、世界でたった13か国からしか国家として承認されていません。日本も台湾とは友好的な関係を築いている一方で、国家としては認めていません。その理由は、台湾と中国の歴史的な関係性にあります。

1912年、中国大陸に蒋介石率いる「中華民国」が建国されました。第二次世界大戦後、蒋介石(国民党)は毛沢東(共産党)と国の主導権を争いますが、敗れて台湾に逃げ込みます。これ以降、大陸には「中華人民共和国(現在の中国)」、台湾には「中華民国」が、それぞれ別の政府として成立し、どちらも自分たちこそが正当な中国だと主張するようになりました。

台湾では、世代を経るにつれて「中国人」よりも「台湾人」としてのアイデンティティが強まっており強くなっており、多くの人が台湾を自立した国家であると考えています。一方で、中国は今でも台湾を自国の一部であると考えており、世界中の国々と国交を結び、経済的な結びつきを強めることで、台湾を独立国家として認めないように圧力をかけています。

北朝鮮

北朝鮮といえば、核ミサイルや拉致問題など、日本ではネガティブな報道が多いですが、実は世界では160の国と地域と国交があり、国連にも加盟しています。日本やアメリカ、カナダ、フランスなどは承認していませんが、ロシアや中国、オーストラリア、イギリス、イタリア、スペインなどは北朝鮮を国家として承認しています。

そもそも、第二次世界大戦後、日本の植民地支配から解放された朝鮮半島には、新たな統一国家が置かれるはずでした。しかし、米ソ対立という冷戦の構造が朝鮮半島にも持ち込まれ、北緯38度線を境界に、北部はソ連によって、南部はアメリカによって分割統治されることとなります。その後、社会主義の「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と、民主主義の「大韓民国(韓国)」がそれぞれ建国されると、対立関係は悪化し、朝鮮戦争に発展しました。1953年に休戦協定が結ばれたものの、終戦したわけではなく、朝鮮半島は現在まで南北に分断されたままとなっています。

こうした歴史的経緯から、北朝鮮は社会主義である中国や、社会主義であったソ連に由来するロシアとの関係が深く、反対に韓国やアメリカとは対立関係にあります。

パレスチナ

パレスチナとは、もともと地中海東沿岸の地域を指す言葉ですが、現在では主にパレスチナ自治区を指します。2024年現在、パレスチナは145か国に国家として承認されていますが、イスラエルとの結びつきの強いアメリカなどの反対で、国連への正式加盟は実現していません。

パレスチナには、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地であるエルサレムがあり、民族・宗教間の対立を生む一因となっています。今から約2000年前、この地域に住んでいたユダヤ人はローマ帝国に追放され、世界中に散らばった後も各地で迫害を受けました。19世紀以降、ユダヤ人がパレスチナへの帰還を目指すシオニズム運動が高まり、1948年、ついにイスラエルが建国されます。しかし、それによって現地のイスラム系アラブ人は追い出されることとなり、アラブ諸国とイスラエルの間で4度の中東戦争が起こったのです。

現在、パレスチナ自治区の多くはイスラエルの占領下にあります。2023年10月7日にはハマスがイスラエルを攻撃したことで、イスラエルによる報復・虐殺へと発展し、対立はますます深まっています。パレスチナとイスラエルの二国家の成立という解決を求める声もありますが、長年の対立が解決を難しくしています。

まとめ

この記事では、非承認国家の定義や具体例について説明しました。非承認国家が生じる背景には、とても複雑な歴史的経緯があることが分かっていただけたかと思います。こうした国への承認・非承認は、国家の立場を示すものであり、国際社会に大きな変化をもたらすのです。

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政経百科編集部
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