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【京都議定書とパリ協定】内容現状と問題点は?アメリカ離脱はなぜ?

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温室効果ガス排出削減・気候変動に取り組む国際的枠組みを解説!

京都議定書は、1997年に国際連合気候変動枠組条約の第3回締約国会議(COP3)で採択された国際的な取り組みの枠組みです。この議定書では、地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスの排出削減目標が設定され、先進国に具体的な削減目標が課されました。

京都議定書は地球温暖化の影響を軽減するための取り組みを推進するもので、世界が目標達成に向けて協力するために採択されたものです。

京都議定書の現状と問題、京都議定書の後継となっているパリ協定についても解説します。

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京都議定書の取り組みと問題点

京都議定書は、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出削減を目標として、特に先進国に削減目標が課されました。この排出削減目標は1990年の排出レベルに対して特定の割合で削減することを目指しています。

京都議定書の取り組みの現状として、一部の施策を除いて、第一約束期間で加盟している先進国23か国中11か国が削減目標を達成しました。

先進国のみへの排出削減義務

京都議定書では先進国のみへの排出削減義務が課されました。途上国はこの議定書の対象外となり、排出削減の負担が先進国に偏った内容となりました。先進国のみに削減義務が課せられたため、排出削減目標の達成は困難なものとなったのです。

そのため第一約束期間で加盟している先進国23か国中12か国が削減目標を達成することができませんでした。また、途上国には温室効果ガスの排出削減義務がないため、経済成長に伴い排出量が増加し、地球全体の温室効果ガスの削減に影響を与えることになりました。

アメリカが離脱

地球全体の温室効果ガス排出量が、京都議定書の掲げた目標を上回ってしまった要因の一つにアメリカの離脱があります。

2001年、当時のブッシュ大統領はアメリカの経済成長を阻害してしまうことや途上国に削減目標がなく不平等であることなどを理由に、京都議定書からの離脱を表明しました。

アメリカは当時最大の温室効果ガス排出国であり、先進国内でも足並みがそろいませんでした。

途上国の排出削減責任の不足

途上国は温室効果ガスの削減義務が課されませんでした。そのため、先進国からは不満が噴出することとなりました。先進国には温室効果ガスの削減義務があり、削減に対する負担が高まる一方で途上国は削減に対する負担を負わないことになったのです。

途上国に削減義務が課されなかった理由としては、削減に対する技術や資金が足りていないことが考慮された結果です。そのため途上国のみでは排出削減に取り組むことは難しく、先進国を中心とした技術や資金の支援が必要でした。

その結果、途上国の排出削減責任の不足が顕著となる議定書の採択となったのです。

京都議定書の問題点とパリ協定

京都議定書の問題点は削減目標の不十分さです。京都議定書の削減目標は温室効果ガスの削減に不十分で、気候変動への影響を十分に軽減するほどの効果は無いと指摘されています。しかし、京都議定書の採択は世界が地球の環境問題について考えるきっかけとなりました。

そして、京都議定書の後継としてパリ協定が2015年に採択されました。パリ協定は京都議定書の問題点を改善した協定となっています。改善点は主に3つで長期目標の設定と国別削減目標の提出と普遍性の確保です。

京都議定書の問題点を考慮して採択されたパリ協定について見ていきましょう。

パリ協定とは

パリ協定では長期目標の設定と国別削減目標の提出と普遍性の確保という3つの方向性が示されました。それぞれについて解説します。

1つ目は長期目標の設定です。パリ協定は、地球温暖化の上限を2度に抑えることを目指し、世界が協力し努力することで1.5度に抑えることを世界共通の長期目標として採択されました。京都議定書では先進国のみに温室効果ガスの削減目標が設定されたため、世界全体としては気候変動の対策となるほどの効果は発揮することができませんでした。その反省点を活かして、世界全体が長期目標を共有し、その目標に向かって世界全体が協力するという実効性のあるものとなったのです。

2つ目は個別削減目標の提出です。これはパリ協定は全ての国が自国の温室効果ガスの削減目標を提出し、更新することを求めるというものです。世界全体の状況に合わせて、自国と環境のバランスを考えながら温室効果ガスの削減を目指すことになりました。京都議定書では途上国に削減目標が設定されませんでしたが、自国の状況に合わせて先進国を中心とした支援を受けながら現実的な削減を目指すことになったのです。

3つ目は普遍性の確保です。パリ協定は京都議定書と異なり、先進国と途上国のどちらにも温室効果ガスの削減目標が課されました。これは京都議定書の採択により先進国から不満が噴出した反省を活かした結果です。全ての国が共通かつ公平に貢献することをパリ協定は定めたのです。

パリ協定の現状と達成状況

パリ協定は地球の平均気温上昇を2度未満に抑え、できれば1.5度以内に収めるといった目標に対して、まだ達成は難しい状況です。

パリ協定の1.5度の目標達成に向けて、2030年までに世界全体で排出量を42%削減する必要があると言われています。その削減目標に向かって、世界が協力して温室効果ガスの削減に取り組んでいる最中だと言えます。そして、世界の全ての国がパリ協定の指針に従って温室効果ガスの削減に取り組み続ける必要があるのです。

まとめ

今回は地球の気候変動を食い止めるため採択された京都議定書の問題点とその後継となったパリ協定について解説しました。

京都議定書は先進国のみに削減目標が課され、気候変動を食い止めるまでの影響は無い議定書となりました。しかし、その反省を活かしパリ協定が採択されたのです。

そして、パリ協定の指針に従って世界が温室効果ガスの削減に向けて協力し、努力をしている最中なのです。

参考になるサイト

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政経百科編集部
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