【裁判員制度】メリット・デメリットや目的・意味、陪審制との違いなど
裁判員裁判とは?あなたは賛成?反対?
裁判員裁判をご存知でしょうか?裁判員裁判とは、刑事裁判に国民の中から選ばれた裁判員が参加する制度です。
もし、あなたが裁判員に選ばれた時のために、裁判員裁判について理解しておくことは重要です。そこで、本記事では裁判員裁判の概要を踏まえた上で、裁判員裁判のメリット・問題点などについて解説します。
裁判員裁判とは?
裁判員裁判とは、刑事裁判に国民の中から選ばれた裁判員が参加する制度です。裁判員は刑事裁判の審理に出席し、裁判官と議論をして、被告人が有罪か無罪か判断します。原則として、裁判員6名と裁判官3名がひとつの事件を担当します。
裁判員は下記の流れで国民の中から選ばれます。
- 裁判員候補者名簿の作成
- 候補者への通知
- 事件ごとの裁判員候補者の選定・通知
- 裁判所における選任手続き
- 裁判員選任
また、裁判員に選ばれた際は下記の仕事を行います。
- 公判に立ち会う
- 評議、評決
- 判決宣告・裁判員の任務終了
裁判員制度と陪審制の違い
では、裁判員制度と陪審制はどのような違いがあるのでしょうか?まず、陪審制について解説します。
陪審制は、日本で戦前・戦中に行われていた国民が司法に参加する制度です。陪審員制では裁判員制度の裁判員にあたる陪審員が国民の中から選ばれます。そして、陪審員は被告人が有罪か無罪か判断します。
陪審員によって有罪と判断された場合、その量刑は裁判官が決めるのです。このように、陪審員は有罪か無罪の判断、裁判官は量刑を決定するのが陪審制の特徴です。
一方で、裁判員制度では裁判員と裁判官が一緒に、有罪か無罪の判断を行い、量刑の決定を行います。このように、裁判員制度では量刑の決定まで裁判員が関与する点が陪審制と異なる点です。
裁判員裁判導入の経緯
では、なぜ裁判員裁判が導入されたのでしょうか?裁判員裁判導入の経緯を解説します。結論から言うと、裁判員裁判は国民が司法に参加することで国民の理解しやすい裁判を実現できるという考えから導入されました。
裁判員裁判が導入されるまでは、法律の専門家が中心となって裁判を行ってきました。そのため、専門的で正確な審理や判決が高い評価を受けてきたのです。一方で、その専門的な正確さゆえに裁判は分かりにくいものと国民は感じるようになっていました。
そこで、国民が司法に参加することで裁判をより身近に、より理解できるとの考えから裁判員制度の導入が検討され始めました。
その後、2004年3月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」が提出され、同年5月21日に可決成立し、同月28日に交付されました。そして、2009年5月21日に裁判員裁判が始まったのです。
裁判員裁判のメリット・目的
では、裁判員裁判のメリットと目的はなんなのでしょうか?裁判員裁判のメリットは下記の通りです。
- 裁判に対する国民の理解が深まる
- 国民の経験が刑事裁判の質を高める
- 国民の常識が市民の自由や権利を守る
まず、裁判員裁判を行うと裁判に対する国民の理解が深まります。なぜなら、裁判員に選ばれた人は裁判について勉強をし、実際に裁判に参加することで裁判の流れを体験することができるためです。国民は裁判員裁判を通して、司法に関する知識と経験が得られるのです。
また、国民から裁判員が選ばれることで、専門家の視点には無い経験と常識が裁判に反映されます。そのため、より国民が理解しやすい納得感のある裁判となるのです。
裁判員裁判の問題点
裁判員裁判にはもちろん問題点もあります。具体的には下記のような問題が発生しています。
- 裁判員裁判への理解が得られない
- 裁判員の精神的負担が大きい
上記の2点の問題について詳しく見ていきましょう。
裁判員裁判への理解が得られない
まず、1つ目の問題点は「裁判員裁判への理解が得られない」ことです。裁判員裁判に参加するのは国民です。そのため、生活や仕事がある国民が時間を割いて、裁判に参加することになります。
もし、仕事がある国民が裁判員裁判に参加する場合、休暇を取得する必要があります。しかし、裁判員参加することを勤務先に報告すると、裁判員を断るように打診されたというケースがあるのです。
このように、裁判員裁判へ参加するためにはまず家族や職場の理解を得る必要があります。この点が裁判員に選ばれた人の負担となるため問題だとされています。
裁判員の精神的負担が大きい
2つ目の問題点は「裁判員の精神的負担が大きい」ことです。裁判員は裁判に参加すると、現場の写真を見たり、生々しい証言を聞くことになります。そこで、ストレスを感じた裁判員は精神的な病気を患うケースもあるのです。
そのため、裁判員の精神的な負担は大きいと言えます。
まとめ
本記事では、裁判員裁判の概要を踏まえた上で、裁判員裁判のメリット・問題点などについて解説しました。裁判員裁判は刑事裁判に国民の中から選ばれた裁判員が参加する制度です。裁判員裁判は国民の司法への理解を深め、司法をより身近に感じてもらうために始まりました。
しかし、裁判員裁判への参加は職場や家族の理解を得る必要があったり、精神的な負担が大きい点が問題となっています。もし、裁判員に選ばれた時のために裁判員裁判について理解を深めておきましょう。
参考になるサイト
- 日本弁護士連合会|裁判員制度ってどんな制度?|https://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/about/index.html
- 裁判員制度|裁判員の仕事や役割|https://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/work_and_role/index.html
- さいたま地方検察庁|裁判員制度について|https://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/saitama/saibanin.html
- 法務省|日本でかつて行われていた陪審制度|https://www.moj.go.jp/keiji1/saibanin_koho_gallery02.html
- Yumenavi 大学で究める学問研究サイト|義務なのに負担が大きすぎる? 見えてきた裁判員制度の課題とは|https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g011009