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【敵基地攻撃能力】安保三文書・防衛三文書をわかりやすく解説!問題点はあるの? 

hensyubu
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2022年岸田文雄内閣で閣議決定!安保三文書・防衛三文書の内容に迫ります。

国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画の3文書で構成される安保三文書・防衛三文書。論点になってきた敵基地攻撃能力・反撃能力が明記されました。2022年に閣議決定されたこの文書の中身と日本の防衛問題について考えます。

安保三文書・防衛三文書とは?

安保三文書とは、2022年12月16日に国家安全保障会議決定および閣議決定された「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書の総称のことです。防衛三文書とも呼ばれます。

日本経済新聞「反撃能力保有を閣議決定 防衛3文書、戦後安保を転換」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA146QM0U2A211C2000000/ から引用

国家安全保障会議(日本版NSC)とは?

国家安全保障とは、国家安全保障に関する重要事項および重大緊急事態への対処を審議するために内閣に置かれる会議のことです。

4大臣会合と9大臣会合があり、4大臣会合は内閣総理大臣・内閣官房長官・外務大臣・防衛大臣で構成され、9大臣会合では4大臣に加えて、副総理(内閣総理大臣が欠けたときに内閣総理大臣臨時代理の地位に就く第1順位の国務大臣)・総務大臣・財務大臣・経済産業大臣・国土交通大臣・国家公安委員長が加わります。

4大臣会合は月に2回ほど、9大臣会合は必要に応じて開催されます。

首相官邸|国家安全保障会議|https://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyoukaigi/index.html

閣議決定とは?

内閣が開催する会議のことを閣議といい、全会一致で意思決定をします。閣議には、内閣総理大臣と内閣総理大臣が指名する国務大臣の他に、運営の補助のために内閣官房副長官と内閣法制局長官が参加し、内閣官房長官が進行を担当します。

内閣や閣議については、こちらもご覧ください。

【解説】内閣って一体何をしている?行政・閣議などの似ている用語との違い

https://seikeihyakka.com/article/naikaku

国家安全保障戦略

国家安全保障戦略は、日本の国家安全保障に関する最上位の指針とされています。2013年に「国防の基本方針」(1957年)に代わり、第二次安倍内閣で閣議決定されました。

2022年には、岸田内閣のもとで2013年の国家安全保障戦略を改定し、新たな国家安全保障戦略が制定されました。


2022年の改定では、2027年までに防衛費を日本のGDP比で2%に達するよう目標を示し、積極的平和主義を維持しつつ「我が国を守る第一義的な責任は我が国にある」としています。


防衛省|国家安全保障戦略 概要|https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/pdf/securitystrategyoutline.pdf

内閣府|国家安全保障戦略について|https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou.html

国家防衛戦略

防衛における目標を規定しています。2027年までに航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」に名称を変更することなどが明記され、「宇宙作戦能力を強化し、宇宙利用の優位性を確保し得る体制を整備する」と記載されています。


防衛省|国家防衛戦略 概要|https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/strategy/pdf/strategy_outline.pd

防衛省|国家防衛戦略|https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/strategy/

防衛力整備計画

自衛隊の保有すべき防衛力の水準と、その水準を満たすための中長期的な整備計画が記載されています。

宇宙・サイバー・電磁波領域を含む全ての領域において、多次元統合防衛力を抜本的に強化するとしています。

防衛力整備にかかる金額に関しては、5年間で43兆円程度とされてます。

防衛省|防衛力整備計画概要|https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/plan/pdf/plan_outline.pdf

防衛省|防衛力整備計画|https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/plan/

敵基地攻撃能力明記の背景は?

敵基地攻撃能力を明記した安保三文書の閣議決定の背景には、国際情勢の急変があります。具体的には、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事のリスクの高まりなどです。

ミサイル発射を繰り返す北朝鮮や中国の軍事的脅威にさらされている現状の中で、アメリカは同盟国との「総合抑止」を掲げます。このように自衛隊が、より米軍との一体運用を求められるようになっている背景もあります。

安保三文書の閣議決定により、日米同盟のもと日本の自衛隊が「盾」、在日米国が「矛」の役割分担で米軍に頼ってきた敵基地攻撃能力を自衛隊も担えるようになります。

各党の反応は?

ここからは、敵基地攻撃能力・反撃能力に対する各党の見解を見ていきます。

なお、所属政党・役職等は、2022年10月当時のものです。

自由民主党

与党第一党である自民党の小野寺元防衛相は、「反撃能力を持たざるを得ない」と発言しており、敵基地攻撃能力の保有を推進する立場にあると言えるでしょう。

立憲民主党

立憲民主党の玄葉元外務大臣は、「党としては現時点でよいとも悪いとも言ってないが私としては真の抑止力たりうる反撃能力は排除せずに議論していきたい」と発言し、立憲民主党は反撃能力に対して立場を明確にしていませんでした。

日本維新の会

日本維新の会の青柳国際局長「反撃能力の保有は賛成だが何のためかが重要で、抑止力のためだ。」と述べ、推進する立場を示しています。

公明党

公明党の佐藤外交安保調査会長は、「反撃能力を持つにしても専守防衛で必要最小限の措置をいかに確保していくのかの議論もしっかりしていかなければいけない。」とし、敵基地攻撃能力に反対の立場は取らないものの、公使に慎重な姿勢を示しています。

共産党

共産党の山添政策副委員長は、「事実上、先制攻撃まで可能にしようというもので専守防衛の逸脱は明らか」と述べ、敵基地攻撃能力に反対の姿勢を示しています。

国民民主党

国民民主党の前原元外相「専守防衛は変えるべきでなく、ほかに手段がない場合は他国の基地を攻撃することは憲法上認められているという議論のベースに立つべき。」と話し、敵基地攻撃能力の保有を認める立場を示しました。

れいわ新選組

れいわ新選組の櫛渕副幹事長は、「形を変えた改憲になるのではないか。強く抗議し反対する。」と述べ、反対の姿勢を示しています。

参考:NHK政治マガジン|「反撃能力」保有 各党が賛否 NHK日曜討論|https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/90586.html

まとめ

敵基地攻撃能力の保有や防衛力整備にかかる費用の増額には賛否があり、今後も様々な議論が行われるでしょう。まずは、経緯や現状の制度を把握し、それぞれの立場の主張を聞いてみることが重要です。

参考文献

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政経百科編集部
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