学校教育

【プールの水閉め忘れ】誰のせい?学校教育現場の問題や働き方改革を考える

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プールの水閉め忘れ問題はなぜ起こるのか?

夏になると毎年ニュースで流れるプールの水の閉め忘れ。なぜそんなことが起こってしまうのでしょうか。

今回はプールの水の閉め忘れについて詳しく解説していきます。

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プールの水閉め忘れの事例

実際にプールの水の閉め忘れはどれくらい起こっているのでしょうか。なぜそのような事例が起こってしまったのか、ここでは過去の事例について見ていきます。

志波姫中の事例

市立志波姫中で2024年6月28日、プールの授業前に教員が水位と水温を調節するために水を入れましたが、授業終了後も水を止め忘れました。市職員が29日、地区の水道使用量が多いことに気付いたことで発覚しました。

矢田北小の事例

大阪市東住吉区の市立矢田北小では2024年6月28日、プールの水位が低かったことから教員が注水を始めたものの、そのまま止め忘れ、7月1日に思い出した教員が学校に出向き停止させました。

市教委によると、注水作業中は職員室にあるホワイトボードにその旨を記入し、他の職員に周知することになっていましたが記入することも忘れていたといいます。

芦城小の事例

石川県小松市では、市立芦城小が6月のプール開きに合わせて2024年5月29日に給水を開始しましたが、2カ所の排水バルブが開いたまま給水を続けていました。6月11日の水道使用量の定期検針の際に、使用量が大幅に増加していることによって気づきました。13日間の流出量は25メートルプール約25杯分に及びました。

東京都江戸川区の事例

東京都江戸川区で2024年6月、区立東葛西小と区立南小岩第二小で注水の止め忘れが相次ぎました。区教委によると、いずれも注水を始めた教員が止め忘れ、計約760立方メートルが流出しました。

プールの水の閉め忘れの原因は?

プールの水の閉め忘れの原因は主に給水を始めた職員の閉め忘れにあります。

過去に閉め忘れがあった学校では一人で作業していたため気づくのが遅れてしまったとされています。

プールは基本的に屋上など普段近寄らない場所に設置されているため、他の職員たちも気づくことができないのが現状です。

学校現場の人手不足問題

学校教育の現場で、プールの水の閉め忘れ等のトラブルが起きてしまう背景には、教育現場の人手不足の問題があります。

2021年5月1日時点で、公立の小学校と中学校を合わせた教員不足は1701人。教員不足が生じている公立の小学校は794校、中学校は556校の計1350校で、公立小中学校のほぼ20校に1校で教師不足が発生しています。

公立の小中学校に高校と特別支援学校を合わせると、教員不足は2063人でした。

どの学校でも教員不足が問題視されているためプールの給水作業に2人以上で取り組むのは困難と言えます。

プールの水の閉め忘れ問題は誰の責任?

プールの水の閉め忘れは担当職員の責任と思われがちですが、故意に忘れているわけではないため一概にその職員だけに責任があるとは言えません。

事例の中には、初めての給水作業であるにも関わらず、しっかりとしたマニュアルはなく、作業を見守る他の教員もいなかったことがありました。

そういったケースでは学校側の管理がよくなかったとも言えます。

そのため、プールの水の閉め忘れ問題は担当教員1人の責任ではなく、学校や教育委員会、教育現場の人手不足など社会全体の問題であるといえます。

プールの水閉め忘れに対する対応

プールの水の閉め忘れによる損害額はとても少ないとは言えません。

その損害を負担するのは主に3パターンあります。

まず1つ目は市町村が学校側に請求するケースです。この場合、損害額の約5割を学校側で支払うことが最も一般的です。

2つ目は市町村側で全額負担するケースです。学校側は故意ではないためこのような対応が取られることもあります。

3つ目は学校側で全額負担するケースです。学校側が全額負担することを自ら申し出ることで起こりますが、この対応はあまり多くはありません。

プールの水の閉め忘れを未然に防ぐには?

毎年問題となるプールの水の閉め忘れには対処法はないのでしょうか。

ここでは、閉め忘れを未然に防ぐ方法について見ていきます。

タイマーの設定

給水を開始するときにタイマーを設定し、職員が水が貯まるタイミングを把握できるようにします。

複数人での作業

一人で作業しないようにすることで止め忘れてしまうことを防ぎます。しかし教員不足が問題となっている現在、単純作業に人員を割くことは難しいという課題があります。

情報共有の徹底

他の教職員や管理職に給水中であることを掲示板などで知らせ、もし担当職員が忘れていたとしても他の職員たちが気づけるようにします。

民間業者に委託

学校や教職員でプール管理を行うのではなく、民間業者に委託することでそもそも教職員が給水作業を行わないようにします。

民間業者に委託することで、教師の仕事が減り、負担軽減にも繋がります。

まとめ

毎年起こってしまうプールの水閉め忘れ問題の背景には教員不足などがあります。そのため、一筋縄では解決できるような問題ではありません。今後自治体は問題解決に向けてどのような対策を行っていくのでしょうか。

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参考になるサイト

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政経百科編集部
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