【学校のPTA】必要ない?会長の役割や何をするのか解説
PTAは廃止すべき?存在意義や問題点を考える。
皆さんが小中高生だった時、様々な場面で「PTA」という単語を見聞きしたことがあったでしょう。筆者はそれに対して、「何か保護者が加入している組織」というふんわりとした印象しかなかったのを覚えています。
今回はそんなPTAに関して、具体的な役割屋廃止に関する賛否などをまとめていきます。
PTAは何をするところなの?
PTAは「Parent-Teacher Association(親-教員協会)」の略称であり、保護者と教員から成る社会教育団体です。児童の活動の支援を行うのが本旨であり、結成や加入の義務はありません。
全ての児童・生徒のためのボランティア団体というのが本来のあり方です。
日本におけるPTAの始まりは、明治初期に学制が公布された時にさかのぼります。当時、各地に開設された学校の設立・維持に必要な経費は、学校が存在する地域住民らの負担によることを原則としていました。
時が進むにつれ、学校の運営資金は町村費の負担となっていきましたが、学校の予算は必ずしも潤沢というわけではありませんでした。
そこで、保護者や学区の住民により、学校を支援する任意団体が多く結成されたのです。
第二次世界大戦終結後、GHQは日本の民主的な教育のためにPTAの結成を推奨し、1948年には各学校のPTA設置率は7割を超えました。
1952年にはPTAの全国団体が結成され、より大規模なものとなりました。
PTAの業務と役割
では、PTAの業務と役割にはどのようなものがあるのでしょうか。
PTAの業務
PTAの構成員の業務は多岐にわたります。
具体的には、
・運動会などの行事のサポート
・そのほかの学校・地域のイベントのサポート
・子どもの安全・防犯に関する研修会の運営
・学校・地域の美化活動
・学校・地域の広報
などがあります。
PTAの年間行事
PTAの年間行事は、学校を基準にして行われます。そのため、年間予定表は年度が始まる4月から始まり、年度末の3月で終わります。
4月 入学式・PTA役員選出
5月 PTA本部役員会開催
6月 交通安全教室・登校班懇談会
7月 学年懇談会・PTA広報誌発行
8月 PTA連合会合同研修会
9月 学校美化活動
10月 地区の祭りのサポート
11月 PTAの祭り
12月 来年度のPTA役員選出
1月 PTA本部役員会
2月 PTA総会
3月 卒業式・役員引継ぎ
PTA会長の役割
PTA会長は、PTAの最高責任者であり、学校と保護者・家庭を繋ぐ重要な役割を担っています。総会や運営委員会などでの議長、学校との対話や行事でのあいさつ、地域住民との交流など、PTAを代表して学校や地域に対しての窓口となります。
校長先生をはじめとする教職員、地元議員、地域の人と協力して教育環境を考えるやりがいのあるという声がある一方で、負担の大きさ、保護者間やその他関係者との人間関係、自分の子どもが嫌がるなどの大変さもあります。
PTAは必要ない?廃止論について
学校や地域、保護者、生徒児童の架け橋となる役割を果たしている一方で、PTAには数多くの問題も指摘されています。
任意加入の団体であるにもかかわらず、保護者・教員が子どもの入学・赴任と同時に加入を強制されるのが実情のところもあるみたいです。また、非会員の子どもに対しての差別が行われているなどの指摘もあがっています。
その中で、PTA廃止論がSNS上やマスメディア等で話題になっています。
PTA廃止論の理由
PTAを廃止するべきだという意見が上がる背景には、このような理由があります。
・PTAは任意加入の団体であるにもかかわらず実質的に加入が強制されていること
・非会員の子どもに対する差別的待遇が存在すること
・活動の強制が行われていること
・役員・委員の選出に関する問題
・資金の不正利用がたびたびおこなわれていること
などがあります。
PTA解散についてのアンケート調査
過去には、PTAの解散についてのアンケートが行われた地域があります。
東京都立立川市にある柏小学校では、役員決めの難しさや活動方針に疑問を感じた会長が、保護者に対して「PTAの解散に賛成かどうか」のアンケート調査を行いました。
結果は98.7%の保護者がPTAの解散に賛成。その後、同小学校のPTAは解散しました。
実際にPTAを廃止した事例
ここからは、実際にPTAを廃止した自治体・学校とその後を見ていきましょう。
東京都大田区の事例
東京都大田区の嶺町小学校は、PTAを廃止して代わりに「PTO(parent- teacher organization)」を組織しました。強制的な役員決めや不要な活動を廃止し、できる時に、やりたい人が活動に参加する形式に変えました。
これにより、持続的な活動を維持できるようになりました。
神奈川県横浜市の事例
神奈川県横浜市の日枝小学校は、2021年4月にPTAを廃止。これまでの慣習を見直し、新たなボランティア団体として再スタートしました。子どもたちをまとめる「こーでぃねーたー」が子どもたちのための企画を行い、活動を行っています。
まとめ
長い歴史を持ち、学校教育を支え、保護者と地域との窓口になってきたPTA。しかしながら、問題点も指摘されています。
PTAはどのように活動していくべきか、その存廃も含めて考えて直していかなければいけないのかもしれません。
参考になるサイト
- 文部科学省|「学制の着手順序と文教施策」|https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317582.htm
- ハフポスト|『PTAの強制加入や役員決めの問題、大津市教育委員会が作成した校長ら向けの「手引き」が参考になる』|https://www.huffingtonpost.jp/entry/pta-manualjp5ca56d9de4b082d775e02ec7
- 弁護士.com|『「子ども会」の村八分 「みんな嫌ってる」登校班入れず苦悩』|https://www.bengo4.com/c23/n9055/
- 毎日新聞|『「保護者会退会で娘が疎外」父、賠償求め提訴』|https://mainichi.jp/articles/20160520/k00/00e/040/226000c
- 西日本新聞|「PTAの悲痛な現状 保護者は苦悩 任意のはずが…役員強制やペナルティーも」|https://www.nishinippon.co.jp/item/n/401519/
- ベネッセ教育情報|PTA会費の流用、背景には教育予算の不足も-斎藤剛史-|https://benesse.jp/kyouiku/201302/20130212-2.html