社会・環境

【貧困女子】生理の貧困やパパ活などが社会問題化!特徴、原因、対策などを解説!

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貧困女子とは?女性の貧困に解決策はあるのか?

みなさんは、貧困女子という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

なかなかキャッチ―な響きですが、その言葉には女性が陥りやすい深刻な社会問題が隠されています。

この記事では、貧困女子の定義や原因、その現状について、わかりやすく解説します。

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貧困女子とは?

「貧困女子」とは、貧困状態にある女性のことを指す言葉です。

一般的に20~30代の独身女性がイメージされることが多いようですが、明確な定義はなく、高齢であっても貧困状態であれば「貧困女子」だといわれることもあります。

では、どのような状態が貧困として定義されるのでしょうか?

「絶対的貧困」ではなく「相対的貧困」

貧困には、「相対的貧困」と「絶対的貧困」があるといわれています。絶対的貧困とは、食料や水がない、着るものがない、家がないなど、生きる上で必要最低限の水準を満たしていないことを指します。途上国で飢餓にあえぐ子どもなど、貧困と聞いて多くの人が思い浮かべるのはこの絶対的貧困とされ、生きることそのものが困難な場合です。

一方で、相対的貧困とは、その地域や国において大多数より貧しい状態を指します。具体的には、所得の中央値の半分より少ない収入の場合に、相対的貧困として定義されています。この記事で紹介する貧困女子は、この相対的貧困に含まれます。

他人からは理解されにくい

貧困女子の特徴は、多くの人が働いて収入を得ている一方で、そのほとんどが家賃や水道光熱費、通信費などで消えてしまうことにあります。

とりあえず生きていくことはできるけれども、食費や貯金に回すお金はほとんど残らないのです。

また、最低限の身なりを整えているため、はたから見ると困窮しているようには見えません。そのため、窮状を知られる恥ずかしさから相談することをためらったり、たとえ悩みを打ち明けても、本当に困窮しているのかと疑われたりすることが多いのです。

貧困女子の元ネタは?

貧困女子という言葉の元ネタは定かではありませんが、この言葉が有名になったきっかけのひとつに『東京貧困女子。』という本があります。

これは東洋経済オンラインで連載されている、貧困にあえぐ女性たちの実話をまとめたものなのですが、東京の華やかさからは想像できないほどの衝撃的な内容に、連載開始当初から大きな反響を呼びました。

2023年にはドラマ化もされており、貧困女子の現状を広める一つのきっかけとなったといえるでしょう。

貧困女子の原因

貧困女子と呼ばれる人の多くは、働いているにもかかわらず貧困に陥っていることが少なくありません。厚生労働省の調査によると、2021年時点では、25歳以上のすべての年代で、男性よりも女性の方が貧困率が高くなっています。特に、独身女性では23.9%、シングルマザーでは29.1%と貧困率が非常に高く、3~4人に1人は貧困状態であることがわかっています。

それでは、このように女性が貧困に陥りやすいのはなぜなのでしょうか?

非正規雇用が多い

女性の雇用形態の特徴として、男性よりも圧倒的に非正規雇用の割合が高いことが挙げられます。男女共同参画局によると、労働者のうち、2021年における非正規雇用の割合は、男性が21.8%なのに対し、女性は53.6%と、倍以上の差がありました。

非正規雇用の場合、賃金が低く、景気の影響も受けやすいため、正規雇用に比べるとどうしても不安定な立場になります。それゆえ、今でも男女の平均賃金には大きな開きがあり、貧困女子が生まれる大きな要因となっています。

シングルマザーの増加

近年は様々な理由でシングルマザーとなる女性が増えています。特に、子どもがいる家庭で離婚した場合、9割以上は母親が子どもを引き取りますし、結婚しないまま子どもを産んだ場合は、原則として親権をもつのは母親だけです。ただでさえ女性は非正規雇用が多く収入が少ないのですから、当然ながら母子家庭では生計を立てることがより難しくなります。

奨学金の返済

現在の日本では高等教育がかなり普及してきていますが、その分奨学金を受給している学生の割合も増加しています。

日本学生支援機構によると、2022年には過半数の大学生・大学院生が奨学金を受給していました。奨学金は就職後に少しずつ返済していくことが前提となった制度ですが、近年は困窮のために返済できなくなる人が少なくありません。

延滞者(返済が遅れている人)に占める非正規雇用の割合は、男性が22.0%なのに対して、女性は40.2%となっており、ここにも雇用形態の影響が見てとれます。

コロナ禍の「女性不況」

世界的に経済が停滞したコロナ禍は、一部で「女性不況」とも呼ばれました。英語では、女性を表す代名詞(she)と不況(recession)をかけあわせて、she-cessionという造語にあたります。

コロナ禍で特に打撃を受けた飲食店や宿泊業などは女性の労働者が多く、とりわけ日本は先進国の中でも2番目にその割合が高かったことから、多くの女性が職を失いました。このため、パンデミック以降はますます貧困女子が増えたのではないかと懸念されています。

貧困女子の現実

一口に貧困女子といってもその年齢や境遇は様々ですが、貧困女子が陥りやすい状況として、懸念されていることがいくつかあります。

生理の貧困

生理の貧困とは、経済的な理由などで生理用品を購入できなかったり、生理のための教育、衛生施設、廃棄方法に十分アクセスできなかったりする状態のことをいいます。プラン・インターナショナルの調査によると、2021年、15~24歳の女性のうち、ナプキンなどの生理用品の購入をためらったり、購入できなかったりしたことがあると答えた女性は35.9%にも上りました。また、人によっては痛み止めや低用量ピルも必要で、さらにお金がかかります。

生理はほとんどの女性が経験するものですが、生理用品や薬を買うには一定のお金が必要です。貧困のためにこうした必需品が手に入らなければ、学業や仕事など普段の生活にも支障をきたします。その結果、社会進出の機会を失ったり、心身の健康を害したりと、ますます悪循環に陥ってしまいます。

パパ活・水商売・性風俗

貧困女子の中には、必要なお金を得るため、水商売や性風俗、パパ活などを行っている人もいます。水商売はキャバクラやスナックなど夜の接客業、性風俗は性的なサービスの提供を指します。一方で、パパ活とは、若い女性が金銭やモノを見返りに、「パパ」と呼ばれる中年男性とデートに行ったり身体の関係をもったりする活動のことです。英語圏ではsugar duddyと呼ばれます。

水商売や性風俗で働いて貧困から抜け出そうとする女性は以前からいましたが、近年は、お店を介さなくてもSNSなどで手軽に稼げる手段として、パパ活を行う女性が増えているそうです。軽い気持ちで始めてしまうと、思わぬトラブルや犯罪に巻き込まれたり、一般的な金銭感覚を失って仕事に就けなくなったりするなど、大きなリスクを追うことになります。

求められている支援とは?

では、こうした貧困女子の問題に関して、どのような支援が求められているのでしょうか?また私たちが問題解決のためにできることはあるのでしょうか?

行政による支援と制度の周知

貧困に陥ったとき、私たちには適切な支援を得る権利があります。たとえば、以下のような手当や助成金を受け取ることで、少しでも生活が楽になるかもしれません。

しかし、こうした支援制度には、本人が「申請」しない限り利用することができないものが多くあります。

本当に支援の必要な当事者には制度が知られていないことも多く、行政には制度の周知を徹底することが求められています。

失業手当

雇用保険に入っていた場合、失業中の一定期間、給料の代わりに給付される

求職者支援訓練

失業手当がもらえない人を対象とした訓練で、月10万円の給付金をもらいながら、無料で職業訓練を受けることができる

住居確保給付金

失業後2年以内で、経済的に困窮している場合、3か月まで(延長が認められれば最大9か月まで)家賃額を支給してもらえる

児童扶養手当

子どもの人数や所得に応じて、一定の給付金がもらえる。

生活保護

「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることができないと判断された場合、一定の保護費を受け取ることができる。

支援団体への協力

前に述べた通り、貧困女子は見た目からは分かりにくく、問題の深刻さがあまり知られていません。

そこで、貧困女子を支援する団体に、ボランティアや寄付といった協力を行うことで、問題の周知に貢献することができます。

たとえば、日本女性財団やグラミン日本、国連ウィメン日本協会などが挙げられます。まずはセミナーに参加してみて、女性の貧困について知識を深めることも、問題解決に向けた一つの方法ではないでしょうか。

まとめ

この記事では、貧困女子の定義や原因、そこから生まれる問題について解説してきました。貧困は、ここ日本においても決して他人事ではありません。

この先、ちょっとしたきっかけから、あなたや周りの人がいつの間にか貧困に陥るかもしれないのです。

貧困から抜け出すために、あるいは貧困を生まない社会にするために、私たちには何ができるのか、みなさんの考えるきっかけになれば幸いです。

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参考文献

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政経百科編集部
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