社会・環境

【障がい者雇用】現状と課題は?合理的配慮・雇用義務・職業リハビリテーション等

hensyubu

障がい者雇用の課題は?メリット・デメリット・現状を考える

全人口の約7.4%が障がい者と言われている現在社会において、障害者雇用の促進はどのように進んでいるのでしょうか。今回は障害者雇用について詳しく解説していきます。

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障がい者の定義は?

障がい者雇用とは、障害のある人が一人ひとりの特性に合わせた働き方ができるよう、一般雇用とは別枠で企業や自治体などが障害のある人を雇用することです。障害のある人が、障がいのない人と同様の勤務時間や仕事内容などの条件で働くことは、障害の内容や特性、状態などにより難しい場合もあります。

そこで、障害のある人が働く機会を得やすくするために「障害者雇用促進法」によって定められているのが障害者雇用です。また一定数以上の従業員がいる企業や自治体には、一定の割合以上で障害のある人を雇用することや、合理的配慮を提供することが義務付けられており、また障害のある人への差別も禁止されています。

障がい者の公的支援

障害者雇用促進法は、正式名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」といいます。この法律では、障がいのある人の職業生活での自立と安定を実現するために、さまざまな取り組みが定められています。そのなかでも「障害者雇用促進法」の大きな柱となる取り組みについて説明していきます。

雇用義務制度

「障害者雇用率制度」とは、障害のある人の雇用の権利を保障し、促進する目的で定められたものです。民間企業や国、地方公共団体などに対して、障がいのある人を一定の割合以上で雇用するように義務付けています。この割合を「法定雇用率」と呼びます。また、法定雇用率を達成できていない企業のうち、常用労働者が100人を超える企業から納付金を徴収する制度が「障害者雇用納付金制度」です。徴収された納付金は、法定雇用率を超えて達成している企業などに分配されることで、障害のある人の雇用促進と安定を図る役割を担っています。

職業リハビリテーションの推進

職業リハビリテーションでは、障がいのある人の職業生活における自立を実現するために、障がいのある人への職業指導、職業訓練、職業紹介などを行っています。実施しているのは、「地域障害者職業センター」「障害者就業・生活支援センター」「公共職業安定所(ハローワーク)」の3つの施設です。地域障害者職業センターでは、専門の職業カウンセラーが職業評価や職業を選ぶためのアドバイスをしています。障害者就業・生活支援センターでは、就業についての相談や生活面での相談にのっています。また、公共職業安定所では、障がいがある人専門の窓口で職業相談や定着支援なども行っています。

差別禁止と合理的配慮の提供義務

障がいがあることを理由に募集や採用の対象から外したり、不利な条件を課したりすることを禁止しています。就職した後の待遇についても、不当な差別をしてはならないことが定められています。また、障がいのある人が障がいのない人と平等な労働機会を得られるように、それぞれの状況に応じた困りごとの改善をする目的で、さまざまな個別対応や支援を行います。これを「合理的配慮」と言います。障害者雇用促進法では、企業に対して合理的配慮の提供を義務付けています。障がいのある人が就職する場合、具体的な配慮について企業とすり合わせをしながら、お互いにとって無理のない範囲で合意をし、合理的配慮を受けることになります。

障がい者雇用の実情

2023年の民間企業に雇用されている障がい者の数は64万2,178人で前年より4.6%増加し、過去最高を記録しています。障がい者の実雇用率は2.33%、法定雇用達成企業の割合は50.1%となっています。2023年度の法定雇用率未達成企業は53,963社あり、そのうち66.7%は不足数が0.5人または1人と、あと少しで法定雇用率を達成できる状況です。また、障がい者を一人も雇用していない企業は31,643社であり、未達成企業の58.6%を占めている状況です。

障がい者雇用における会社側に求められる配慮

障害者雇用をした場合、周りの人には合理的配慮が求められます。配慮には障がいの種類によって求められる配慮も変わってきます。

身体障害の例

  • 通勤ラッシュを避けて通勤できるように時差出勤を許可する。
  • 視覚障害のある人が作業しやすいよう、拡大読書器や音声読み上げソフトなどの支援機器を導入する。
  • 手話通訳や筆談用のボード、音声を文字化するソフトなどを導入する。

知的障害の例

  • 作業の内容や手順を、図などを使って分かりやすく説明したマニュアルを作る。
  • 抽象的な表現を避け、簡潔で具体的な表現を使って説明する。

精神障害の例

  • 体調や通院、服薬の必要性に応じて、勤務時間や休憩時間、休暇などを調整する。
  • 障害の特性や体調などの情報を、プライバシーに配慮しつつ職場に周知しておくことで、サポート体制を整える。

障がい者雇用の課題

障害者雇用は、一般雇用に比べると全体の求人数が少なく、お住まいの地域によっては、通勤圏内での求人が見つかりづらい可能性もあります。また、一般雇用と比較すると、業務内容の範囲が限られたり、給料が低かったりすることもあります。また、受け入れる企業側としても障害者でも働ける内容の業務の提供などに困っているなどの声があり、なかなか障害者雇用が進まないという課題があります。

まとめ

現在、障害者雇用が推し進められていますが、なかなか雇用が進まないのが現状です。

障害者雇用には社会的意義と課題の両方が存在するため、まずは現状や問題点を知ることが重要です。

参考になるサイト

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政経百科編集部
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