社会・環境

【ステルスマーケティング】ステマは違法?問題点・炎上した例・意味など

hensyubu

ステマとは?わかりやすく解説!

買い物の形態としてネットショッピングが一般化されている今日では、ステルスマーケティングが問題となっています。一体どのようなことを指す言葉なのでしょうか。今回はステルスマーケティングについて詳しく解説していきます。

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ステルスマーケティングとは?

ステルスマーケティングとは、消費者に特定の商品やサービスについて、宣伝と気づかれないように商品を宣伝したり、商品に関するクチコミを発信する行為のことで、ステマ、と省略されることがほとんどです。

情報発信に関して企業の介在があるにもかかわらず、そのことを消費者に隠したり偽ったりして行われる情報発信全般のことを言います。

ステルスマーケティングが話題になったのはいつから?

ステルスマーケティングが行われるようになったのは、消費者が「クチコミ」などの他者からの情報を重視するようになったことが原因として挙げられます。

そのため、ステマが問題視されるようになったのはごく最近のことで、ステマに騙されて商品を購入してしまう人が一定数いるというのが現状です。

ステルスマーケティングへの批判

ステルスマーケティングには問題点がいくつかあるとされています。実際にどのようなところが問題視されているのでしょうか。

消費者をだます行為であるという点

消費者は、ネット上の口コミや評価を参考にしてサービスを選択します。その際、ネット上の口コミや評価は信頼できる情報源として参考にされますが、それが企業によって作られたものだった場合、消費者は「だまされた」と認識してしまいます。

業界全体の信頼に影響するという点

ステマによって消費者が「だまされた」と認識すると、業界に対しても不信感を抱くようになります。一度信頼を崩してしまうと再度構築するのは難しく、消費者に「どのサイトも危ない」というイメージを植え付けてしまいます。

ステルスマーケティングの法制度

景品表示法では、優良誤認表示および有利誤認表示のほか、内閣総理大臣の指定に基づく不当表示を禁止しています。

2023年10月1日に「令和5年3月28日内閣府告示第19号」が施行され、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(=ステマ)が新たに不当表示として指定されました。したがって現在では、ステマをした事業者は景品表示法違反の責任を問われることになります。

ステマ規制に違反した場合は、消費者庁の措置命令を受けることがあります。事業者は措置命令に従い、ステマに当たる行為の差止めや再発防止措置を行わなければなりません。措置命令を受けた事実は消費者庁のウェブサイトで公表されるほか、措置命令に違反すると「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されます。

ステルスマーケティングに関する炎上の例

過去にはステルスマーケティングによって大手企業が炎上してしまう事例がいくつかありました。ここでは2つの事例を取り上げて詳しく見ていきましょう。

業者によるランキング操作

飲食店の情報を掲載している大手グルメ口コミサイト「食べログ」では、業者によってランキングが操作されていたことが2012年に指摘されました。

一般の消費者を装って、報酬をもらった業者が高評価の口コミを投稿し、ランキングを上位に上げていたのです。チェック体制の強化など対策は進められていますが、消費者としては信頼できる情報が操作されているものだったとして、信用に悪影響を与えています。

「ディズニー映画」PR表示なしの広告

ウォルト・ディズニー・ジャパンは、映画「アナと雪の女王2」の公開後、7人の漫画家にTwitter上で映画の感想漫画を投稿するよう依頼しました。

しかし、SNS上で複数の漫画家がほぼ同時に映画の宣伝投稿をしたことで炎上しました。その際のTwitter投稿には「PR」表記はついていなかったとのことです。

企業側は一旦ステマであることを否定しましたが、後日、金銭のやり取りが行われていたことが発覚しました。マーケティング施策として行われていたにも関わらず、「PR」という表記が漏れてしまっていたことを、ウォルト・ディズニー・ジャパンが公式Webサイトで謝罪しています。

ステルスマーケティング関連の訴訟

ステルスマーケティングには炎上だけではとどまらず、訴訟に発展する事例もあります。過去の事例にはどのようなものがあるのでしょうか。

京都市と吉本興業の事例

京都市は2018年、「京都国際映画祭」の広報を吉本興業に委託しました。

2018年9〜10月にかけて、吉本興業に所属するコンビ芸人2人が、Twitter上で映画祭や京都市に関する宣伝を含む内容のツイートを投稿しました。これらのツイートに、広告主が京都市であることや、明確に広告であることの記載がなかったことから、これらの投稿がステマに当てはまるのではないかという批判が殺到し、炎上してしまいました。

この件で京都市の住民が、吉本興業のタレントがSNS上に投稿した発信はステマであり、公序良俗に反するとして、京都市と吉本興行に対し、京都市から支払われた委託費用420万円の返還を求めました。しかし裁判所は芸能人が広報活動を行うということは広告主側から何らかの便益が提供されていることは容易に想定できるとして訴訟を認めませんでした。

EC業者が不正レビューを投稿した会社に対して訴訟を起こした事例

ECサイトでは、少数の有名インフルエンサーに依頼して口コミを行うパターンとは異なり、多数の一般人に報酬を支払って口コミを投稿させる手法のステマが行われ、商品を購入していないにもかかわらず口コミを投稿する不正レビューも横行しています。

これらの不正レビューにより、本来ランキング上位に位置するはずの高品質な商品が、不正レビューを利用する低品質な商品に追いやられたり、故意に大量の低評価を付けられる等の被害を受ける業者も出てきています。

また、不正レビューによりランキングの表示と実際の商品の質に乖離が生じ、高品質な商品を見つけることが難しくなったり、誤認して低品質な商品を購入してしまう等、消費者にも悪影響を及ぼしています。

そこで大手ECサイト「楽天市場」を運営する楽天グループ株式会社が、サイト内で商品に関する「やらせレビュー」を11万件以上投稿していたシステム開発会社に対し、2億円の損害賠償を請求しました。その結果不正投稿を認め再発防止を誓約することと、和解金1千万円の支払いを条件に、和解が成立しました。

まとめ

ステルスマーケティングは悪質なものが多く、長い間問題となっています。

しかしなかなか無くならないのが現状です。消費者である私たちには情報リテラシーを身につけ、正否を判断することが求められています。

参考になるサイト

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政経百科編集部
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