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【社会契約説】ホッブズ・ロック・ルソーなど、思想家の歴史を解説

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社会契約説とは?世界史の重要単語をわかりやすく

社会契約説は近代社会を理解する上で重要な思想です。権力者が実権を握る主権国家など対立する思想などが存在します。

現代社会で国民が平等、自由に暮らしていくために社会契約説は非常に重要な役割を果たしています。この記事では社会契約説の概要、社会契約説を唱えた思想家、社会契約説の現在について解説します。

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社会契約説とは?

社会契約説とは市民革命期にあらわれた政治思想のことです。社会契約説は「人民がたがいに契約をむすぶことによって社会や国家が成立するという考え」です。

17世紀にイギリスのホッブズ・ロックが社会契約説のもととなる考えを述べ、フランスのルソーが「社会契約論」を書くことで社会契約説が確立されていきました。

社会契約説の始まり

「人民の互いが契約を結ぶ」ことで権力が成立するという考えは、すでに古代ギリシアにおいて同様の考えが見られていました。

社会契約説が本格的に展開されたのは17世紀〜18世紀のヨーロッパです。国家は個人の集合によってできていると捉えることで、権力者が支配する主権国家という思想を打ち崩していったのです。

社会契約説は「国民の自発的な契約によって、国家が構成されるという」考えを誕生させ、歴史的に重要な役割を果たしました。

社会契約説の誕生以前は、身分制度による支配、服従関係が一般的でした。しかし、社会契約説の誕生により、市民は平等であり自由であることが保障されるに至ったのです。

社会契約説を唱えた思想家は?

社会契約説は17〜18世紀のイギリスとフランスで、ホッブズ・ロック・ルソーらが主張しました。それぞれの主張について見ていきましょう。

ホッブズの主張

社会契約説の思想を初めて主張したのがホッブズです。ホッブズは17世紀のピューリタン革命期に「リバイアサン」(1651)を執筆しました。

ホッブズによる社会契約説の主張は以下の通りです。

  • 人間は契約を結び、各人のもつ自然権を放棄する
  • 各人の持つ力を結集し、大きな集団的力をもつ政治社会をつくる
  • 最高権力及び主権を行使する権限を主権者に与える
  • 主権者は各人の自由や安全を保証する法律を制定する
  • 各人は制定された法律に従う

ロックの主張

ロックによる社会契約説の主張は以下の通りです。

  • コミュニティを安全に維持する最重要な政治機関は立法部
  • 議会に最高権力がある
  • 立法部と行政部の間に矛盾が生じる場合、前者が優先される

これらの考えは現代の議院内閣制の先駆けとなったのです。

ルソーの主張

社会契約説という言葉はルソーが初めて使用しました。ホッブズとロックは社会契約説の思想を主張しましたが、ルソーが初めて思想を言葉にしたのです。

ルソーは「社会契約論」を執筆しました。社会契約論は人民によりよい政治とはなにかを教え、最も良い政治を実現するために執筆されたと考えられています。

ルソーの主張は以下の通りです。

  • 個人の自由・利益と公共の自由と利益とを同時に考えることのできる市民が、契約を結ぶ
  • 「一般意思」をもつ政治社会を確立し、その「一般意思」の定める法律によって政治が行われることを提案

ホッブズとロックが社会契約説のもととなる思想を築き、ルソーによって社会契約説が完成されたのです。

社会契約説の現在

現在の日本において社会契約説の思想は全て取り入れられています。日本はかつて国家主導の政治・経済体制を取っていました。そのため、個人の自由や権利は大きく制限されていたのです。

しかし、国家主導の政治は国家主義や軍国主義の風潮を生み出し、第一次世界対戦や第二次世界対戦を発生させる要因となったのです。戦後、悲惨な戦いを再び起こさないために「世界人権宣言」(1948)が国連総会において採択されました。

第二次世界大戦後、日本でも新憲法が制定され「国民主権主義、平和主義、基本的人権の尊重」という3原則が明確化されました。これによって、日本で社会契約説の思想が実現したのです。

まとめ

社会契約説は「人民がたがいに契約をむすぶことによって社会や国家が成立するという考え」です。権力者が国を支配する主権国家という思想を打ち崩す形で社会契約説が発展していました。

そして、17〜18世紀のイギリスとフランスで、ホッブズ・ロック・ルソーらが主張することで思想が浸透していったのです。その後、現代の日本でも日本国憲法の成立に伴って社会契約説の思想が実現しました。

参考になるサイト

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政経百科編集部
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