【ゲーム理論とは】囚人のジレンマ・ナッシュ均衡などの代表例についてもわかりやすく解説!

hensyubu

【経済学】ゲーム理論を簡単に解説!

ゲーム理論は、経済学や政治学、ビジネスなどさまざまな分野で活用されています。この記事では、ゲーム理論の基礎概念と代表的な事例である「囚人のジレンマ」や「ナッシュ均衡」を、わかりやすく解説します。戦略を立てる上で役立つ知識が身につきます。

スポンサーリンク

ゲーム理論の基本概念

ゲーム理論とは、複数の当事者が相互に影響を及ぼしあう状況下で、各当事者がどのような行動を選択するかを分析する理論です。この理論では、戦略的な意思決定がどのように影響し合うかを検討します。複雑な要因によって動いている現代の経済において、ゲーム理論はなくてはならない理論と言えます。

ゲーム理論とは

ゲーム理論は、経済学や政治学、ビジネスなどさまざまな分野で応用されています。当事者間の相互作用と、その結果としての利得を数理モデルで表現し、分析するのが特徴です。競争相手の行動を予測し、自身に最も有利な戦略を立てることができます。

ゲーム理論が想定する状況

ゲーム理論が想定する基本的な状況は3つあります。1つ目は複数の当事者が存在すること、2つ目は各当事者の行動が他者に影響を与えること、3つ目は各当事者が自身の利得を最大化しようとすることです。こうした前提の下で、当事者間の戦略的インタラクションを分析します。

ゲーム理論の歴史と背景

ゲーム理論の基礎を築いたのは、1944年に出版された『ゲーム理論と経済行動』です。この書籍で、ゲーム理論の基本概念が体系的に示されました。

ゲーム理論の起源

ゲーム理論の起源は、1944年にジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンによって著された『ゲーム理論と経済行動』に遡ります。この書籍が、ゲーム理論の基礎を確立しました。当初は経済学の一分野としてスタートしましたが、次第に他分野にも応用が広がっていきました。

主要な発展と応用分野

1950年には、ジョン・ナッシュによる「ナッシュ均衡」の概念が提唱され、ゲーム理論は大きな進展を遂げました。1994年には、ゲーム理論の発展に貢献した研究者3名がノーベル経済学賞を受賞しています。現在では、経済学のみならず、政治学、生物学、心理学、コンピューター科学など、幅広い分野で応用が進んでいます。ナッシュ均衡については下記で解説しています。

囚人のジレンマ

囚人のジレンマは、ゲーム理論の代表的な事例として知られています。では囚人のジレンマとは一体どのようなゲーム理論として挙げられるのでしょうか。

状況設定

囚人のジレンマでは、2人の容疑者が共謀した犯罪で逮捕され、別々の部屋に留置されます。警察は、自白した側には減刑の見返りを約束し、自白しなかった側には重い刑を課すと通告します。

結果とその教訓

両者が互いに裏切れば重い刑、協調すれば軽い刑となります。しかし、利己的に振る舞えば自身の刑期を軽くできるため、お互いが裏切る選択をしがちです。結果的に両者とも重い刑を受けてしまう、望ましくない状況に陥ります。この事例から、個人の合理的選択が集まると、かえって全体として望ましくない結果になることがあると教訓づけられます。

ナッシュ均衡

次に、同じくゲーム理論の代表例としてナッシュ理論というものを紹介します。こちらもある状況下において、それぞれのどのような動きをするかについて考える上で重要なものです。

ナッシュ均衡とは

ナッシュ均衡とは、各プレーヤーが最適な戦略を選択した時の戦略の組み合わせを指します。この状態が成り立つと、いずれのプレーヤーも一方的に戦略を変更する動機がなくなります。つまり、均衡状態が実現するのです。

企業間の価格競争における例

ナッシュ均衡の具体例として、企業間の価格競争が挙げられます。ある価格設定において、すべての企業が一方的に価格を変更する動機がなくなった状況を、ナッシュ均衡と呼びます。この均衡点で価格が決まると考えられています。

ナッシュ均衡が成り立つ状態

ナッシュ均衡が成り立つ状態では、いずれのプレーヤーも単独で戦略を変更する理由がなくなります。つまり、均衡状態に落ち着くため、この時点で各プレーヤーの戦略が確定します。経済モデルにおいてもナッシュ均衡は重要な概念となっています。

ゲーム理論の限界と批判

ゲーム理論は経済の理論として一定の効果がある一方、その規模感や現実との解離性から学問としてかなり批判を浴びがちな学問である点も否めません。また、シミュレーションをすることなど理論の信憑性を高める上では重要になります。

現実とのギャップ

ゲーム理論は有用な分析ツールですが、その前提条件と現実との間にはギャップがあります。ゲーム理論はモデル化された単純化された状況を扱いますが、現実は変数が多く複雑です。そのため、ゲーム理論の枠組みだけでは現実を十分に反映できないことがあります。

合理的行動を前提に対する批判

ゲーム理論では、各当事者が完全に合理的に行動すると想定されています。しかし現実には、感情的な判断や非合理的な行動がしばしば見られます。人間の心理的側面を無視できないため、この前提への批判があります。行動経済学の知見を取り入れる必要性が指摘されています。

人間の行動を完全に説明できる万能の理論はありませんが、ゲーム理論はさまざまな局面で有効なツールとなり得ます。その限界も認識した上で、適切に活用していく必要があるでしょう。

まとめ

ゲーム理論の研究は、これまでさまざまな分野で多くの成果を上げてきました。しかし、現代社会が抱える複雑な問題に対しては、理論の発展と新たな応用が望まれています。AIやビッグデータ解析の進展により、より現実に即した高度なモデル化が可能になると期待されます。また、行動経済学の知見を取り入れることで、人間の非合理的行動への対応力が高まるでしょう。

参考になるサイト・資料

スポンサーリンク
著者について
政経百科編集部
政経百科編集部
監修者
政経百科は日本最大級の政治経済解説サイトです。様々な政治経済や社会に関する情報を提供し、読者の皆さんに理解や共感を届ける情報をお届けしています
記事URLをコピーしました