【市場の失敗】独占・寡占や外部不経済などの問題例をわかりやすく解説

hensyubu
記事内にアフィリエイトを含む場合があります

市場の失敗とは?要因・対策は?

皆様は、市場の失敗という言葉を聞いたことがありますか?

独占・寡占や外部不経済など、市場の失敗の要因は複数ありますが、今回の記事ではそれぞれの要因と対策についてみていきます。

スポンサーリンク

市場の失敗とは?

市場の失敗とは、資源が効率的に配分されないことです。市場の失敗が起こる主な原因は、独占や寡占、公共財や公共サービスの供給不足、外部不経済の存在などが挙げられます。

市場の失敗の定義

市場の失敗とは、市場メカニズムが適切に機能せず、資源配分の効率性が損なわれることを指します。市場メカニズムが正常に働けば、需要と供給のバランスにより、限りある資源が最も効率的に配分されるはずです。

市場の失敗が起こる原因

しかし、現実には独占企業の存在や公共財の供給不足、環境破壊などの外部不経済が起こり、市場メカニズムだけでは資源が無駄なく配分されないことがあります。このように、市場が機能不全に陥ることを市場の失敗と呼びます。

市場の失敗の事例

市場の失敗の典型例としては、独占企業による高止まり価格の設定、大気汚染や騒音といった外部不経済の発生、国防や治安維持など公共財・公共サービスの供給不足などが挙げられます。

独占・寡占

独占企業や少数の企業による支配的な地位を指す独占と寡占は、市場の失敗の主な原因となります。

独占とは?

独占とは、ある財やサービスの供給を1つの企業が独占的に行う状態を指します。独占企業は価格設定力を持ち、高い価格設定と供給量の制限により、社会的に望ましい水準以下の生産量となることがあります。

寡占とは?

寡占とは、ある財やサービスの供給を少数の企業がシェアを分け合う状態を指します。寡占企業は相互の行動を意識し、暗黙の了解で高止まり価格を設定するなど、競争が十分に機能しない場合があります。

独占・寡占

独占や寡占が長期間継続すると、高い価格設定と供給量の制限により、消費者余剰と生産者余剰の合計である社会的総余剰が減少します。また、企業努力が報われず、イノベーションのインセンティブが損なわれる可能性があります。

公共財・公共サービス

公共財とは、非排除性と非競合性を持つ財・サービスのことで、民間企業では十分に供給されません。一般道路・公園・堤防などが公共財にあたります。また、公共サービスとは、政府や自治体が提供する国防や警察、教育など、公的なサービスを指します。

公共財とは

公共財とは、その財・サービスの便益から特定の人を排除することが困難であり(非排除性)、複数の人が同時に利用可能(非競合性)な財・サービスのことです。国防や消防、公園など無料で誰もが利用できるものがこれに該当します。

公共サービスとは

公共サービスとは、政府や自治体が提供する公的なサービスのことで、多くは公共財的性格を持っています。道路や橋、上下水道施設、学校、警察、消防などが挙げられます。

公共財・公共サービスの供給が不足する理由

公共財や公共サービスは、無料で利用でき、利用者を特定できないため、民間企業では採算が取れず供給インセンティブがありません。そのため、政府による供給が必要とされますが、財政的な制約から十分な供給がなされない場合に市場の失敗が起こります。

外部不経済

外部不経済は企業活動などが引き起こす外部に対する悪影響で、市場の失敗の一因となります。

外部不経済とは

外部不経済とは、経済主体の活動により、関係のない第三者に対して意図せずコストを発生させることです。大気汚染や騒音、交通渋滞などが代表例です。

外部不経済の事例

工場から排出される有毒ガスによる大気汚染、深夜の建設作業による騒音、渋滞による時間的・経済的損失など、企業活動が社会に与える外部不経済は数多くあります。

外部不経済が引き起こす問題

外部不経済が存在すると、その社会的費用が企業の生産コストに織り込まれていないため、過剰生産となり社会的な資源配分が非効率になります。また、外部不経済の被害を受ける立場の人々には経済的損失が生じます。

市場の失敗への対策

市場の失敗への対策としては、独占や寡占への規制、公共財・公共サービスの政府による供給、外部不経済に対する課税や規制などが講じられています。

市場の失敗への対策

独占や寡占への対策として、独占禁止法による企業行為の規制、公正取引委員会による価格や出荷量への介入などが行われています。これにより競争を促進し、消費者利益を守ることが目的です。

公共財・公共サービスへの対策

公共財・公共サービスに対しては、政府が財源を確保し、道路や学校、治安維持など様々なサービスを供給しています。しかし、財政的制約から十分な供給ができない場合もあります。

外部不経済への対策

外部不経済への対策としては、公害や騒音に対する環境規制、自動車への課税などの経済的手法や、一定の基準を設けての直接規制が行われています。社会的費用を内部化させ、生産者に適切なインセンティブを与えることが目的です。

まとめ

市場が完全に機能するためには、独占や外部不経済がなく、公共財や公共サービスが適切に供給される必要があります。しかし現実には、これらの条件が満たされないため、市場の失敗が起こります。政府は経済的手法や規制により、市場の失敗を最小限に抑える役割を担っています。

参考文献

X(旧Twitter)で記事内容に対する
意見を広げてください!
スポンサーリンク
著者について
政経百科編集部
政経百科編集部
監修者
選挙・ニュース・授業がもっと楽しくなるをモットーに政経・社会課題を分かりやすく解説します。みんなの「参考書」を目指して情報発信中!様々な政治経済や社会に関する情報を提供し、読者の皆さんに理解や共感をお届けしています。
スポンサーリンク
関連記事
こちらの記事もどうぞ
記事URLをコピーしました