【ヒートアイランド現象】健康・環境に及ぼす影響と対策は?
ヒートアイランド現象とは、なぜ起こる?その原因や現状を解説!
2023年4月時点で超高層ビルが一番多い県は東京都です。その数は628個となっています。 近年、このような都市部での気温上昇が問題となっています。
ヒートアイランド現象という名前を聞いたことがあっても、一体ヒートアイランド現象が健康と環境にどのような影響を及ぼしているかまではよく理解できていないという人も多いと思います。
この記事ではヒートアイランド現象が及ぼす影響とその対策を説明します。
ヒートアイランド現象とは?原因・要因は?
ヒートアイランド現象とは、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことです。都市の気温が周囲より高くなるため、気温の分布図で見ると都市が赤く島状に見えることからヒートアイランド現象と呼ばれています。
このような現象が起こるのは、以下のような要因があります。
アスファルト・コンクリートが地表を覆ってしまっている
アスファルトやコンクリートなどで舗装されている部分や建物の屋根は、夏の日中に日射を受け、50~60度程度にまで達します。また、日中に熱を蓄えられたアスファルトやコンクリートは、夜間温度の低下を妨げます。
ビル等の建物の密集により、風通しが悪くなっている
ビルなどの中高層の建物が密集すると風通しが悪くなり 、熱の拡散や喚起力が弱くなります。夜間でも日中にたまった熱が放出されづらくなり、気温が高い状態が1日続きます。
人工排熱の増加
空調機器、自動車、工場や発電所などでのエネルギー消費が熱として大気中に放出されます。
ヒートアイランド現象の影響
都市部で気温が高くなることによって、健康や環境にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
健康への影響
ヒートアイランド現象によって発生する健康への影響は主に2つあります。熱中症のリスク増大と心臓疾患や呼吸器疾患などの問題が増加する可能性があるということです。
熱中症とは体温が上昇し、体内の水分や塩分のバランスが乱れることで発生する疾患です。症状は頭痛や吐き気、意識障害などがあげられます。ヒートアイランド現象によって都市の気温が高くなると、必然的に熱中症のリスクは高まります。特に高齢者や児童は水分が足りない状態で過ごしてしまうことも多いため、熱中症になりやすいのです。
また、気温の上昇は人間の体への負担増大や大気汚染の増加、体温調節を困難にするといった影響を及ぼします。高温となることで大気中の汚染物質の濃度が高くなる可能性があります。結果として、汚染物質が心臓や呼吸器系に負担がかかりやすくなるのです。そのため、ヒートアイランド現象によって心臓や呼吸器疾患などの問題が増加すると言われているのです。
環境への影響
ヒートアイランド現象によって発生する環境への影響は主に4つあります。
1つ目は大気汚染の増加です。ヒートアイランド現象の原因の1つが人工排熱です。人工排熱とは冷暖房の使用や自動車の利用など人間が生活する中で発生する熱。よってヒートアイランド現象が進んでいるということは大気汚染も進んでいると言えます。
2つ目は水循環の変化です。現代の都市部のほとんどがアスファルトやコンクリートに覆われています。それによって周囲の地表温度が上昇するのです。結果として、雨水は地面に吸収されることなく、蒸発し雨の降り方や地下水の水位が低下するといった影響があります。
3つ目は生態系への影響です。気温の上昇により、植物や動物の生態系はバランスを崩します。また、高温下では緑地が枯れてしまいます。結果として、高温下で生き残れる動物や植物のみが生息するようになり、生物の多様性が失われてしまうのです。
4つ目はエネルギー消費への影響です。気温が上昇することにより、冷房をつけることが多くなります。その結果、更に人工排熱が増え、エネルギー消費も増加してしまうのです。
ヒートアイランド現象への対策
ヒートアイランド現象への対策は緑地の増設、舗装や塗装の工夫、人工排熱の削減が有効だと言われています。ヒートアイランド現象の大きな原因は人工排熱ですので、その人工排熱をいかにして削減していくかということが重要なのです。
緑地の増設と舗装や塗装の工夫
緑地を増設することは気温を下げる効果が見込めます。東京のような都市部でも。屋上や壁面を緑化することで、植物が熱を吸収し、気温を下げることができます。
一概に何度下げることができるかの具体的な数値はまだ明らかになっていません。ですが。植物は葉から水分を蒸発させる際に、周囲の気温を下げることができることは確かですので緑化は有効だと言えます。
また、舗装や塗装を工夫することで地表面の温度上昇を抑えることができます。舗装や塗装の材料によっては、温度上昇を抑える効果が見込めるのです。
人工排熱の削減
人工排熱の削減にはSDGsで掲げられている目標を達成していくことが効果的だと言えます。例えば、省エネの推進や環境に優しい車の普及、建物や工場からの排熱を減らすことです。
無駄な電力を使用しないことや太陽光発電や水力発電などの環境に優しい発電の比率を高めていくことなどが有効です。工場においても、排熱を再利用したり、冷却システムを効率化することで人工排熱を削減することができます。
まとめ
ヒートアイランド現象は人工排熱が主な原因となって都市部の気温が高くなる現象です。
気温の上昇によって熱中症のリスクが増大したり、生態系が変化することが健康と環境への影響を及ぼします。その対策としては緑地の増設や人工排熱の削減などがあげられています。
参考になるサイト
- 気象庁|ヒートアイランド現象の要因について|https://www.env.go.jp/air/life/heatisland/manual01/02_chpt1-2.pdf
- 埼玉県|「ヒートアイランド」ってどんな現象? – 埼玉県|https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/cess-kokosiri/cess-koko5.html
- 環境省|ヒートアイランド現象の実態解析と対策のあり方について|https://www.env.go.jp/air/report/h14-01/03.pdf
- 国土技術政策総合研究所|2 ヒートアイランド現象とその影響|https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0406pdf/ks0406005.pdf
- spaceshipearth.jp|ヒートアイランド現象とは?温暖化との違い、影響や対策も|https://spaceshipearth.jp/heat-island/
- looop-denki.com|ヒートアイランド現象とは? 地球温暖化との違いを交えて解説|https://looop-denki.com/home/denkinavi/energy/environment/heatisland/